研究課題/領域番号 |
23656105
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山村 和也 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60240074)
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研究分担者 |
是津 信行 名古屋大学, グリーンモビリティ連携研究センター, 准教授 (10432519)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 大気圧プラズマ / 無電解銅めっき / グラフト共重合 / ラジカル基 / フッ素樹脂 |
研究概要 |
本研究では、高周波の誘電損失が小さく成形性に優れたフッ素樹脂であるPFAの表面に高密着性の銅めっき膜を作製するプロセスの開発を目的としている。具体的には、ヘリウムまたはアルゴンを主成分とするプラズマ照射処理により PFA 表面の脱フッ素化および過酸化物ラジカル基の導入をおこなったのち、錯化高分子としてポリ4ビニルピリジン (P4VP) もしくはポリアクリルアミンを含む溶液を塗布することにより PFA 表面に無電解銅めっきプロセスにおいてめっき膜形成の前駆体を形成する触媒を担持する高分子鎖をPFA表面にグラフト重合する。めっき膜はグラフト重合により強固に結合した高分子鎖に析出するため、高密着性が期待できる。平成23年度は、1-5kPa程度の中圧ヘリウムプラズマを適用した場合のラジカル生成量と銅めっき膜の密着強度の関係を、プラズマ発生圧力をパラメータとして評価した。錯化高分子としては水溶性のポリアクリルアミンを用いた。ラジカル密度と触媒担持密度、ならびにめっき膜の密着強度の間には相関がみられ、作動圧力が1.3kPaの時に密着強度の最大値として0.44N/mmを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中圧ヘリウムプラズマ照射により形成される過酸化物ラジカルの密度と無電解銅めっき膜の密着強度には相関があることが確認された。しかしながら、現段階で得られている最大密着強度は目標値である1.0N/mmを達成していない。この原因として、プラズマ処理後のPFA基板に対してポリアクリルアミンが十分グラフト化していないことが考えられ、PFAの側鎖にグラフトする密度を増大させる最適条件の探索が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
側鎖ラジカル量の増大とそれに伴う銅めっき膜の密着強度の増大を図るため、脱フッ素化における最適なプラズマ処理条件を探索する。具体的には、圧力レンジとしては大気圧、ガス種としてはヘリウムに加えてアルゴン、電源周波数としては13.56MHzに加えてパルス変調を適用して比較検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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