研究課題/領域番号 |
23656105
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山村 和也 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60240074)
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研究分担者 |
是津 信行 名古屋大学, グリーンモビリティー連携研究センター, 准教授 (10432519)
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キーワード | 大気圧プラズマ / 無電解銅めっき / グラフト共重合 / ラジカル基 / フッ素樹脂 |
研究概要 |
我々が提案した大気圧プラズマ化学液相堆積法を用いてポリテトラフルオロエチレン (PTFE) シート上に高密着性の銅配線パターンを直接描画することを試みた。従来、マイクロパターン構造を基板上に形成する方法としてフォトリソグラフィ法が用いられてきたが、工程数が多くて高コストな方法であるため、代替パターニング技術として、必要な所にのみ材料を付加していくプロセスが提案されている。なかでも、インクジェット法はオンデマンド印刷が可能であるため、材料利用効率が高く、最も産業利用に適している手法であると考えられる。我々はインクジェット法の適用により、無電解銅めっきにおける前駆体であるPd/Snナノ粒子触媒を前処理されたPTFE基板上に塗布し、塗布した場所のみに銅めっき膜の形成が可能であるかを検証した。 検証実験には、ガラスクロス入りのPTFEシートを用いた。基板表面に大気圧のヘリウムプラズマを照射した後、ポリアクリルアミンをグラフト化した前処理基板表面に対して、Pd/Snナノ粒子を含む溶液をインクジェット法を用いてライン状に塗布した。インクジェットヘッドの吐出口径は直径15 μm で、1ドットあたりの吐出液滴数は1 滴、ドット間隙は30 μmとした。本基板に対して無電解銅めっき処理を行い、最小線幅59μmの銅配線を形成することに成功した。また、JIS-H8504テープ試験により銅めっき層の密着強度を評価したところ剥離はしなかった。したがって、形成した銅配線パターンは0.32N/mm以上の密着強度を有することが分かった。また、無電解銅メッキ膜が析出するかどうかは、PTFE基板に対するヘリウムプラズマの照射時間に大きく依存し、プラズマ照射によってPTFE上に形成される過酸化物ラジカルに対してグラフト重合するポリアクリルアミンがある一定以上の密度に達した場合に銅膜が析出することが分かった。
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