研究課題/領域番号 |
23656111
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研究機関 | 光産業創成大学院大学 |
研究代表者 |
花山 良平 光産業創成大学院大学, 光産業創成研究科, 助教 (20418924)
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研究分担者 |
石井 勝弘 光産業創成大学院大学, 光産業創成研究科, 准教授 (30311517)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 超精密計測 / 応用光学・量子光工学 / 精密部品加工 / 光干渉計測 |
研究概要 |
本研究では零位法干渉計と極座標系シアリング干渉計の2種類の干渉計を構築する計画であり、計画1年目である平成23年度は極座標系シアリング干渉計の構築を主に行った。また、両者の共通部分である波長走査干渉法を実現するための波長可変レーザの導入を行った。 波長可変レーザでは波長を連続的に変化させようとしても、時として急激に波長が変化してしまうことがある。これはモードホップと呼ばれており、波長走査干渉法では必要な波長変化幅の中でモードホップが発生しないことが肝要である。導入したレーザにてモードホップすることなく変化させることが可能な波長可変幅がスペック通り0.2nm以上存在することを確認した。これは空気間隙幅を2mmまで小さくすることが可能であることを意味する。これに関連し、過去に行った干渉縞位相検出手法の研究を発展させ、開発する干渉計に適した位相検出手法の検討を行った。この一部については国際学会で発表を行った。 極座標系シアリング干渉計の構築については、これはさらに回転シアリング干渉計と動径方向シアリング干渉計の2つからなるが、これらを実現するダブプリズムを用いた像面回転機構とカメラ用ズームレンズを用いた拡大縮小機構を構築した。またこれらを組み込んだ極座標系シアリング干渉計を構築し、干渉縞画像の取得に成功した。干渉計の構築に当たり、共通光路干渉を実現するためサニャック干渉計の光学系を構築した。この光学系は2つの光束が同一の周回光路を互いに逆回りに進行することを特徴とする。これにより外乱に頑強でより実用的な干渉計が実現できた。 また、もう1つの零位法干渉計について、その主要部品である液晶空間光変調器(LCoS-SLM)を他の資金を用いて導入することができ、初期の動作確認を行った。これについては引き続き干渉計の構築作業を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では微小非球面レンズの形状計測を行う干渉計の構築を目標としている。構築しようとしている2種類の干渉計のうち、極座標系シアリング干渉計については光学系の構築が干渉縞画像が取得可能となった。他方の零位法干渉計測についても実績の概要欄に記したとおり、主要部品の導入を行い、現在、構築作業を進めているところである。両者について、干渉縞画像の解析手法や干渉計の制御手法について検討を進めている。 共通の波長走査干渉部についても波長可変レーザの導入を行い、性能確認を完了した。また、波長走査干渉法に適した干渉縞解析アルゴリズムの検討も進めている。 微小非球面レンズの測定については実施できていない、現在は形状精度が十分に高いことを確認できた球を試料として測定を行いながら干渉計の構築を進めている。準備が整った段階で微小非球面レンズの形状測定に進む計画である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き干渉計の構築を進める。極座標系シアリング干渉計については今年度の早い段階で非球面レンズの形状測定が実施できるようにし、実際の非球面レンズ試料の測定を行う。特に、極座標系シアリング干渉計の干渉縞画像の解析手法の検討とその実装について検討を深める。前年度に光学系の構築を重点的に進めた結果、干渉計の制御を行うための費用の使用が次年度に繰り越しとなった。これについては現在、購入計画を進めており、早々に使用する予定である。零位法干渉計については光学系の構築と液晶空間光変調器による波面発生、そしてフィードバック手法の構築を行い、試料の測定を行う。 測定結果はそれぞれの干渉計の微小非球面レンズ測定に対する優位性について評価する。また、両者、および他の手法による測定との比較を行い、それぞれの測定法の優劣を評価し研究をまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
干渉計用機構・制御部品:245千円:平成24年6~7月頃購入予定干渉縞解析・評価用品:200千円:平成24年6~8月頃購入予定非球面測定試料:200千円:平成24年7~9月頃購入予定学会発表(日本光学会年次大会、精密工学会等を想定)、論文投稿(Oprical Review誌、Precision Engineering誌等を想定)
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