研究課題/領域番号 |
23656112
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
金井 理 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (90194878)
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研究分担者 |
伊達 宏昭 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (20374605)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | MEMS / 工程設計 / 形状モデリング |
研究概要 |
(1) 多重解像度メッシュモデルによるMEMSデバイスの理想形状と製造誤差形状の重畳表現の開発: MEMSデバイス理想形状を,アセンブリ型メッシュモデルとして表現する. さらに,エッチング時の壁面の湾曲や稜線部の丸まりなどの製造誤差を含んだデバイス形状を,局所的に微細な寸法をもつ3角形の集合体として表現し, これらを粗いスケールの3角形へ多対一対応させた「多重解像度表現」としてデータ管理する方法を開発した. (2) X線CTによるMEMSデバイスの実誤差形状計測とメッシュモデルによる表現: マイクロフォーカスX線CT装置により,加速度センサMEMSを3次元計測し,実際の製造誤差を含む形状のボリュームデータ,ならびに境界面計測メッシュモデルを生成した.またこの計測メッシュモデル上で,溝部壁面の真直度やエッチングアスペクト比を,市販ソフトウエアにより計測した.(3)Fabrication Featureの自動抽出と製造可能な工程順序の全探索機能の開発: デバイスの各堆積層の境界面分集合であるFabrication Featureをメッシュモデル内から自動認識し,Featureの幾何形状に基づいて3種類に分類した.さらに,Feature間の投影重複関係を計算し,この関係に合致するFeature群の堆積順序の組合せを再帰的に探索させ,デバイスを製造可能な全工程順序を探索する機能を開発した.また,製造不可能なデバイスを誤って設計しても,Fabrication Featureの形状さえ製造可能であれば,「製造不可」という判定ではなく,初期設計案に形状が類似し,製造可能なデバイス形状の工程順序を導出する機能を開発した.これらの機能を3次元ソリッドモデリングライブラリであるParasolid上に実装した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1) 「多重解像度メッシュモデルによるMEMSデバイスの理想形状と製造誤差形状の重畳表現の開発」については,MEMSデバイス形状を2階層程度の多重解像度メッシュとして表現し,これを8分木構造で管理するソフトウエアを実装したが,表現に要する3角形個数が膨大となってしまい表示処理効率化等の問題が生じた.従って当初計画よりも,さらに効率のよい多重解像度表現のデータ構造が必要となったため,現在検討中である.(2) 「X線CTによるMEMSデバイスの実誤差形状計測とメッシュモデルによる表現」については,当初計画通り,北海道立工業試験場のマイクロフォーカスX線CT装置により,加速度センサMEMSを3次元計測し,製造誤差を評価できた.(3)「Fabrication Featureの自動抽出と製造可能な工程順序の全探索機能の開発」は,3次元ソリッドモデリングライブラリであるParasolid上に,ほぼ当初計画通りの機能を実装でき,マイクロ酸素センサ等の工程設計案の網羅的導出が可能であること,この工程が,MEMS専門家の立案した工程と同等であることを確認できた.
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今後の研究の推進方策 |
(1)効率の良い多重解像度メッシュモデルによるMEMSデバイス形状の表現データ構造の提案: MEMS上の詳細な誤差形状を含む大量な3角形メッシュでも,効率よく表示や処理が行えるEdgeCollapseベースの多重解像度データ構造を提案する.(2) より製造容易な実デバイスモデル形状の推定機能の開発: H23年度の研究で導出された工程順序の1つを用いて,実際に製造されるデバイスの最終形状や工程途中の3次元形状を推定する機能を,メッシュモデルのオフセット・スイープ・集合演算を活用し開発する.また,エッチング工程用のフォトレジストマスクの形状を自動生成する機能を開発する.(3) デバイス試作による導出工程の妥当性検証: Surface Micromachiningで製造可能な,3次元的に複雑な構造層の堆積関係を持つ数種類のMEMSデバイスを対象に,開発された工程設計支援システムから導出された工程順序とマスク形状を用いて実際のデバイス試作を行い,導出工程の妥当性を検証する.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当せず.
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