研究課題/領域番号 |
23656113
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三木 寛之 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 准教授 (80325943)
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キーワード | トライボロジー / 機械要素 / ダイヤモンド |
研究概要 |
本研究は研磨ダイヤモンド膜表面の平坦部と微細な凹凸の混在により、優れた滑り特性を示す現象について定量的に評価し、摩擦が非常に小さくなる現象の機構解明を目的としている。本課題では接触と浮上の安定状態の境界領域について研究し、無潤滑摺動要素としての研磨ダイヤモンド膜の摺動状態制御ならびに揚力発生による摩擦係数低減メカニズムの解明を目指している。 平成23年度は研磨ダイヤモンドの流体潤滑遷移(浮上)特性の表面形状依存性評価を目的として、チャンバー内に設置した摩擦試験機を用いて研磨状態の異なるダイヤモンド膜の金属板上での浮上特性について評価した。 平成24度には潤滑状態の遷移(混合潤滑→流体潤滑)を誘起する研磨ダイヤモンドの微細表面形状と発生する揚力、および摺動(相対)速度との相関を定量的に分析した。半鏡面状に研磨することによって得られる不規則微細形状から摩擦低減(揚力発生)効果が大きい表面形状パラメータを抽出し、研磨ダイヤモンド膜浮上のメカニズムについて①研磨ダイヤモンドの浮上特性の表面形状依存性、②ダイヤモンド製膜における良好な密着性を確保する技術の開発③研磨ダイヤモンドと金属の間の動的な接触状態の観点から評価した。 具体的には、研磨ダイヤモンドの常温大気雰囲気における低摩擦摺動から超低摩擦(浮上)に至る過程を表面粗さを特性パラメータとして分類し、ランダムな表面テクスチャが摺動に与える影響を明らかにした。同様に、摺動の速度依存性試験を行い、摩擦低減効果が速度依存項に依存性していることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成24度には潤滑状態の遷移を誘起する研磨ダイヤモンドの微細表面形状と発生する揚力、および摺動(相対)速度との相関を定量分析を計画し、成果として研磨ダイヤモンドの常温大気雰囲気における低摩擦摺動から超低摩擦(浮上)に至る過程を表面粗さを特性パラメータとして分類し、ランダムな表面テクスチャが摺動に与える影響を明らかにした。 一方で、研究の進展に伴い、ダイヤモンド製膜における良好な密着性を確保する技術の開発及び研磨ダイヤモンドと金属の間の動的な接触状態について新たな知見があったため、研究項目として中間層を用いたダイヤモンド膜の密着性ならびに摩擦摩耗特性の評価および潤滑状態遷移の定量的評価を実施した。そのため、膜評価および潤滑モデル解析を次年度も引き続き行うこととしたため、上記達成度と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25度には潤滑状態の遷移を誘起する研磨ダイヤモンドの微細表面形状と発生する揚力、および摺動(相対)速度との相関を明らかにする。半鏡面状に研磨することによって得られる不規則微細形状から摩擦低減(揚力発生)効果が大きい表面形状パラメータを示し、摩擦低減効果と研磨ダイヤモンド膜浮上のメカニズムを明らかにする。実施予定の研究項目は①研磨ダイヤモンドの摩擦低減効果②研磨ダイヤモンドによる摺動及び摺動性能の速度依存性の評価を実施する。さらに、従来の摩擦摩耗試験に加えて動的な摺動試験を実施し、摩擦を低減する過程の定量的評価を行う。同様に雰囲気条件の異なる摺動試験を行い、浮上性能の環境依存性を評価する。また、計算機の援用によるモデル計算を行い、揚力をもたらす気体流の違いによる浮上特性への影響を評価すし、浮上メカニズムの解明を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の実施計画を変更したため、当初予定の国際会議での成果発表を平成25年度に実施する。その他の研究項目は変更していないため、渡航費・学会参加費を除く予算を実験に係る経費に充当する。具体的な支出予定費目は以下の通りである。 物品費(成膜用基板、原料ガス(メタン,アルゴン等)、表面研磨用消耗品、)、旅費(成果発表、調査研究)、その他(論文投稿料、学会登録料、分析委託費)
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