本研究は微結晶ダイヤモンド膜表面の平坦部と微細な凹凸の混在により、優れた滑り特性を示す現象について、摩擦低減条件ならびに表面微細形状の関係性の観点から定量的に評価を行った。具体的には、適度な研磨を施した多結晶ダイヤモンド膜が超低摩擦無潤滑を示す現象における接触と浮上の安定状態の境界領域について詳細に検証した。その結果、摺動要素としての研磨ダイヤモンド膜が混合潤滑の低速摺動から流体潤滑領域の高速摺動の全ての領域で安定し、連続的な接触状態遷移を生じることを見出した。さらに、現象のモデル化に取り組み、平坦部と未研磨部の比率により、流体潤滑遷移が制御可能であることを示すことができた。
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