研究課題/領域番号 |
23656120
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
梅原 徳次 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70203586)
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研究分担者 |
上坂 裕之 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90362318)
野老山 貴行 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20432247)
月山 陽介 新潟大学, 自然科学系, 助教 (00533639)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | トライボロジー / カーボン / ファイバー |
研究概要 |
硬質カーボン繊維を束ねたカーボンマイクロブラシ(CFB)膜の試作し,摩擦摩耗特性を明らかにした.具体的には,突き出し量の異なるカーボンファイバーブラシ及びステンレス鋼とアルミ合金に対して,往復摩擦における動き出し時の静摩擦力と定常的なすべりにおける動摩擦力が測定された.アルミ合金プレートに対し,ステンレス鋼とカーボンファイバーブラシの動摩擦係数はほぼ同程度であった.一方,静摩擦係数においては,カーボンファイバーブラシの静止摩擦係数はステンレス鋼の静止摩擦係数に比べて極めて小さく,動摩擦係数と同程度であるという特異な摩擦特性が得られた.また,ブラシの突出し長さ3 mmのとき,突出し長さ1 mmの場合に比べて静止摩擦係数は小さかった.この原因として,静摩擦には動き出し時におけるブラシのせん断変形が影響を及ぼしており,このカーボンファイバーの突き出し量により静摩擦係数の制御が可能であると推察された.次に,ピンオンディスク摩擦試験機においてピンにカーボンファイバーブラシを用い,カーボンファイバーブラシの摩耗体積を重量から測定した.その結果,カーボンファイバーブラシとアルミ合金,PTFE,ガラスディスクの摩擦では,比摩耗量はいずれも0.005 mm3/(N・m)程度で非常に大きな値であった.これは,カーボンファイバーの端面が耐摩耗性が著しく悪いことが考えられ,今後端面接触ではないカーボンファイバーブラシの使い方が求められる.一方,ディスクの摩耗はいずれも極めて少量で測定できなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カーボンファイバーブラシの作成にも成功し,突き出し量の異なるカーボンファイバーブラシの作成が可能になり,その無電圧下における摩擦摩耗特性が明らかになった.既に電圧を印可するための治具の作成も済んでおり,摩擦摩耗特性に及ぼす電圧の影響を明らかにすることも可能である.
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今後の研究の推進方策 |
1.電場印加摩擦摩耗装置のための装置の改造とCFB膜の摩擦摩耗実験 研究代表者の現有設備である環境制御型往復摩擦試験機において接触点に電場を印加できるように装置の改良を施す。具体的には、現有設備のピン試験片ホルダーと平面試験片ホルダーの周囲の絶縁を十分にとる。ピン試験片と平面試験片上のカーボン繊維マイクロブラシ(CFB)膜に、最大10kVまでの直流電場あるいは交流電場を印加し、CFB膜の剛性を変化させ、摩擦に及ぼす電場の影響を明らかにする。カーボンナノチューブの剛性に及ぼす電場の影響の結果に基づき摩擦のモデルを構築し、それにより摩擦に及ぼす電場の影響の考察を行う。また、摩耗特性に及ぼす電場の影響も明らかにし、CFB膜の剛性の結果から、接触圧力分布を推定し、摩耗特性に及ぼす電場の影響を考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.電場印加摩擦摩耗装置のための装置の改造とCFB膜の摩擦摩耗実験 研究費は,研究代表者の現有設備である環境制御型往復摩擦試験機において接触点に電場を印加できるように装置の改良に使用される.具体的には,治具の改良のため部品及び材料の購入を行う.2.次年度に使用する研究費に関して H23年度に新潟大学の月山博士に研究費を配分したが,名古屋大学から試験片を送付したため費用は発生しなかった.H24年度は新潟大学において試験片の準備及び打合せのための旅費に使用する計画である.
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