研究課題/領域番号 |
23656120
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
梅原 徳次 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70203586)
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研究分担者 |
上坂 裕之 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90362318)
野老山 貴行 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20432247)
月山 陽介 新潟大学, 自然科学系, 助教 (00533639)
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キーワード | トライボロジー / カーボン / ファイバー / 摩擦 / 摩耗 |
研究概要 |
カーボンファイバーブラシの摩耗量低減の手法としてループ状カーボンファイバーブラシを作製し,摩擦摩耗実験を行うことによってその摩擦摩耗特性を明らかにした.摩擦試験においてはカーボンファイバーの可とう性による影響を評価するため,カーボンファイバーを丸棒に巻きつけたもの及び巻きつけ後丸棒を除去した中空状のものを作製し,往復しゅう動型摩擦試験機を用いて繊維と平行方向と垂直方向の異なる2方向にしゅう動し,アルミニウム合金ブロック試験片と摩擦し,その摩擦特性を明らかにした.摩耗試験においてはループ状カーボンファイバーブラシと端面接触型カーボンファイバーブラシを作製し,ピンオンディスク型摩擦試験機を用い,アルミニウム合金ディスク試験片と摩擦し,その摩耗特性を明らかにした. (1)静摩擦係数,動摩擦係数の特異性 ループ状カーボンファイバーブラシとアルミニウム合金A2017ブロック試験片の摩擦において,いづれの突出し長さの場合も,静摩擦係数に対する動摩擦係数の比の静動摩擦係数比は,1.1~1.2程度であり,静摩擦係数と動摩擦係数の値が近い非常に特異な摩擦特性を発現することを明らかにした (2)ループ状にすることによる摩耗低減効果 ループ状カーボンファイバーブラシとA2017ディスクの摩耗試験において,カーボンファイバーブラシの比摩耗量が0.7~1.0×10-4 mm3/(N・m)と最小の値を記録した.ループ状カーボンファイバーブラシは,先端接触型カーボンファイバーブラシと比較して,比摩耗量がおよそ1/10の値となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
耐摩耗性に富むループ状カーボンファイバーブラシの作成にも成功し,突き出し量の異なるカーボンファイバーブラシの作成が可能になり,その無電圧下における摩擦摩耗特性が明らかになった.既に電圧を印加するための治具の作成も進んでおり,摩擦摩耗特性に及ぼす電圧の影響を明らかにすることも可能である.
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今後の研究の推進方策 |
1.電場印加摩擦摩耗装置のための装置の改造とCFB膜の摩擦摩耗実験 研究代表者の現有設備である環境制御型往復摩擦試験機において接触点に電場を印加できるように装置の治具の改良を施す。具体的には、現有設備のピン試験片ホルダーと平面試験片ホルダーの周囲の絶縁を十分にとる。ピン試験片と平面試験片上のカーボン繊維マイクロブラシ(CFB)膜に、最大10kVまでの直流電場あるいは交流電場を印加し、CFB膜の剛性を変化させ、摩擦に及ぼす電場の影響を明らかにする。カーボンナノチューブの剛性に及ぼす電場の影響の結果に基づき摩擦のモデルを構築し、それにより摩擦に及ぼす電場の影響の考察を行う。また、摩耗特性に及ぼす電場の影響も明らかにし、CFB膜の剛性の結果ら、接触圧力分布を推定し、摩耗特性に及ぼす電場の影響を考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に使用する研究費に関して H24年度不十分であった電場印加装置のための治具改良に使用する予定である.
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