研究課題/領域番号 |
23656128
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 岳彦 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (10302225)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 流体工学 / プラズマ加工 / 遺伝子 / 細胞・組織 |
研究概要 |
本研究は,プラズマ流の細胞への干渉作用を利用して,標的とした遺伝子群を選択的に発現させ,細胞反応を誘導する手法を開発することを目的とする. 平成23年度は,研究実施計画に従い,(1)プラズマ流の物理刺激が細胞界面に輸送される機構,(2)遺伝子群の発現解析,(3)細胞界面構造の変化の解析,について取り組んだ. (1)では,プラズマ流を水中に生成し,ストリーマの生成過程を詳細に検証した.また,ストリーマ生成に伴う気泡の生成消滅についても可視化を行い,その過程を観察した.これにより,水中で発生するストリーマは1次ストリーマと2次ストリーマに分類でき,1次ストリーマでは1A以下の比較的小さな電流で収まるのに対し,2次ストリーマでは1A以上の大きな電流が発生することを明らかにした.この際,1次ストリーマは半径0.5mm程度の領域内に形成されるが,2次ストリーマは1mm以上の長さに至り,広範囲に影響を与えることが明らかになった.(2)では,プラズマにより生成された化学種などの輸送による抗酸化遺伝子の発現についてリアルタイムPCRを利用して検証を行った.さらに,DNAマイクロアレイの結果についてGene Ontology解析を進めた.HeLa細胞の抗酸化遺伝子の発現傾向は,プラズマ照射培地と過酸化水素培地と比較すると,プラズマ照射培地の方が有意に大きいことが明らかになった.これは,細胞増殖率や顕微鏡観察結果とは異なる傾向であり,今後詳細に検討していく必要がある.DNAマイクロアレイについての新規解析は,委託解析にするのではなく,大学共同設備の解析装置を利用することにしたため,平成24年度に行う予定である.(3)の細胞界面構造の変化については,共焦点レーザー顕微鏡による精細な画像を撮影するための準備を行っている段階である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DNAマイクロアレイ解析を平成23年度に委託解析で行う予定であったが,委託解析は金額が高額なため,東北大学に平成23年度導入されたDNAマイクロアレイ解析装置を利用してサンプル数を5倍程度多くして実験を行うことにした.共同研究設備として導入された解析装置の利用は平成24年度からであったため,平成23年度では過去に行ったDNAマイクロアレイ解析結果の分析とリアルタイムPCRによる遺伝子発現傾向を検討し,サンプルの実験条件抽出を合わせて進めた.これらの事由により,平成23年度の実験計画からは若干の遅れが生じている状態である.水中プラズマの熱流動場解析については概ね順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度では,DNAマイクロアレイ解析を東北大学の共同実験設備を利用して遂行する予定である.研究支援者を短期間雇用することで,DNAマイクロアレイ解析を促進させ,Gene Ontology解析やPathway解析を通し,プラズマ流と遺伝子群発現の相関を明らかにする.さらに,平成24年度に計画していた細胞反応誘導法の開発についても取り組む.プラズマ輸送に関しては申請者が有している数値解析システムを利用し,詳細に各因子の輸送機構を実験結果と統合して検証する.解明した結果を基に,プラズマ輸送を最適化し,細胞界面の反応場・流動場を制御する.さらに,細胞に発現する遺伝子群と発現経路の特定より,細胞界面流動制御による標的とする遺伝子群の発現を選択的に行う細胞反応誘導法の開発を目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は,当初計画していたDNAマイクロアレイ解析を次年度に延期することによって生じたものであり,延期したDNAマイクロアレイ解析と解析を促進させるための研究支援者の雇用に必要な経費として平成24年度請求額と合わせて使用する予定である.
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