本研究は,プラズマ流の細胞への干渉作用を利用して,標的とした遺伝子群を選択的に発現させ,細胞反応を誘導する手法を開発することを目的とする. 平成24年度は,平成23年度で行った,①プラズマ流の物理刺激が細胞界面に輸送される機構,②遺伝子群の発現解析,③細胞界面構造の変化の解析を基盤に,④細胞反応誘導法の開発について取り組んだ.当初計画に従い,平成23年度に解析した遺伝群の発現解析について,再現性と定量評価の検証を行った.再現性については,網羅的遺伝子解析法の1条件当たり4サンプルの解析を行い,データの信頼性について検証した.また,定量評価については,リアルタイムPCRにより抗酸化遺伝子発現について検証した.網羅的遺伝子解析については,解析ソフトGene Springを導入して,クラスター解析,GO解析などを行い,過酸化水素との違いが有意に存在することを示した.特に,Unfolded Protein ResponseやActivation of the AP-1 family of transcription factorsなどに関する遺伝子群発現経路について,プラズマの刺激が過酸化水素より大きくなることを示した.また,プラズマ輸送機構についても検証し,化学輸送を支配する熱流動場生成機構が液面表面の帯電により大きく影響を受けることを明らかにした.また,帯電の極性が変化することと,印加している電界の向きが同期することで,印加電圧の極性に関わらず一方向に流動場が形成されることを明らかにした.
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