研究課題/領域番号 |
23656132
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
新美 智秀 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70164522)
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研究分担者 |
山口 浩樹 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50432240)
松田 佑 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20402513)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 流体工学 / マイクロ流路 / 感圧・感温塗料 / センサ |
研究概要 |
本研究では表面上の二次元圧力分布計測手法として確立された感圧塗料(PSP)を拡張し,マイクロ流路そのものをセンサ化したスマートマイクロ流路を開発することを試みる.ソフトリソグラフィによるマイクロ流路の素材として広く利用されているPDMSが酸素透過性を有していることに着目し,PDMSに色素分子を含有させることにより流路そのものがいわばPSPとして機能し,光照射による発光強度を撮像するだけで壁面上の分布が可視化できるような流路として開発する.さらには,酸素濃度や温度の計測や,これらの複数の物理量を同時計測可能なスマートマイクロ流路へと発展させる. まず,PSPの色素分子をPDMSに含有させた塗料が通常のPSPとして機能することを確認した後,色素分子の候補の特性調査を実施することで,色素の選択を行った.また,マイクロ流れに適用する際に特に重要となるのは,色素分子のPDMSに対する分散性であるため,作製したサンプルにおける凝集の程度を考慮しながら評価した.また,空間分解能について解析的に考察することで,定量的な評価が行えるようにした.さらに,圧力分布がない場においては酸素濃度に対する計測が可能であることを確認した. PDMSはガラス面と接着する際に表面を親水性にする処理が行われることが多いが,その処理による基礎特性への影響の有無を,流体を液体として調べた.その結果,表面処理を行っても問題なく測定できることを確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
色素の選択や液体への適用などを実施した結果,予想通りの結果が得られ,大きな問題もなく当初計画通りおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,選択した色素分子をPDMSに含有させてマイクロ流路を作製し,流路形状・センサ機能の再現性の確認と色素分子の分散性を確認する.その後,顕微鏡下で観察するための光学系の構築を行う. スマートマイクロ流路をマイクロ気体流れに適用し,定量的に壁面上分布の可視化計測が可能であることを実証する.まずは,圧力分布計測を実施する.流路形状としては圧力分布を捉え易いように大きな圧力変動の生じるノズル形状とする.また,スマートマイクロ流路を形成したことによって基礎特性が変化しないことも確認する. 次に液体の適用性を確認するために,二流体の混合流路を作製して実証実験を実施する.液体においては大きな圧力変動が期待できないため,酸素濃度の変動の大きい流れ場で検証を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
マイクロ流路として多数のサンプルを作成するため,PDMS等の薬品類を購入する.顕微鏡下で観察するための光学系を構築する.そのため,研究費を繰り越して次年度の研究費と合わせて実施する.
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