研究課題/領域番号 |
23656138
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河原 源太 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50214672)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 乱流 / 多孔質伝熱面 / 伝熱促進 / 非相似性 |
研究概要 |
熱と運動量の乱流輸送には強い相似性が存在し,熱輸送の促進は運動量輸送促進をもたらし,伝熱性能向上の代償としてエネルギー損失が増大することになる.もし運動量と熱の輸送の間に非相似性を発現させることができれば,流動抵抗(エネルギー損失)を低減すると同時に伝熱を促進するといった,従来の常識を覆す画期的な乱流制御が実現できる.本研究の目的は,『多孔質壁面の導入により横渦構造を生成することで,壁乱流に強い非相似性を発現させ,エネルギー損失を低く抑えた高効率伝熱促進を実現する』ことである. 本研究では,以上の研究目標を達成するため,連携研究者である加藤健司教授(大阪市立大学),海外共同研究者であるJ. Jimenez 教授(マドリッド工科大学),M. Uhlmann教授(カールスルーエ工科大学),A. Pinelli博士(スペインエネルギー環境中央研究所),大学院生1名ならびに研究代表者の計6名の体制で研究を実施した.平行平板間のチャネルにおいて一方の平板が多孔質壁である場合の乱流を研究対象とし,流れ方向とスパン方向にフーリエ級数,壁垂直方向に4次のBスプラインを用いた直接数値シミュレーションにより,多孔質壁面上での運動量と熱の輸送を調べた.流体の多孔質壁面通過の程度を表す多孔率を変化させ,それぞれの乱流場における非相似性を解析した.また,多孔質壁の導入によって発生する横渦構造に対する多孔率の影響を調査し,渦構造の非相似性への寄与を明らかにした.さらに,運動量と熱の非相似性の発現を実験的にも捉えるため,温度差を有する平行平板間乱流の速度と温度を粒子画像流速計及び熱電対により計測した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた,多孔質壁面を有するチャネル乱流の直接数値シミュレーションを実現し,それにより種々の多孔率に対する運動量と熱の輸送の非相似性や渦構造の特性の違いを明らかにし,そこから今後の多孔質壁面の導入による非相似的な運動量・熱輸送の制御に関する指針が得られたことから,本研究の達成度は良好であると判断する.
|
今後の研究の推進方策 |
本研究費により九州大学情報基盤研究開発センター研究用計算機システム超並列計算機を使用することによって研究計画を実行する.今年度に引き続き,流体の多孔質壁面通過の程度を表す多孔率を変化させ,それぞれの乱流場における非相似性を解析する.また,多孔質壁の導入によって発生する横渦構造に対する多孔率の影響を調査し,渦構造の非相似性への寄与を明らかにする.さらに,高効率伝熱促進,すなわち流動抵抗低減と伝熱促進とを同時に可能にする横渦構造を選択的に生成する多孔質材の内部構造を吟味し,その構造を反映した境界条件を求める.以上の結果から,最適な(最低流動抵抗と最高熱伝達)伝熱促進をもたらす多孔質壁面を決定し,高効率伝熱促進を数値実験で実現する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
本研究費により,九州大学情報基盤研究開発センター研究用計算機システム超並列計算機を使用することにより研究を展開する.また,研究費により外国出張し,研究成果の発表及び海外共同研究者との研究打合せを実施する.また,今年度同様に本研究費を用いて実験も進めていきたい.
|