低炭素化社会の実現に向け、二酸化炭素ガスの高効率回収法の確立が求められている。本研究では、輸送を主体に考え、水流中に二酸化炭素気泡と吸着粒子を相互作用するように供給する。これにより、水と粒子による大量の二酸化炭素ガスの固定と輸送などを連続して高効率で行う方法の確立をめざす。最終年度である平成25年度は、以下の結果を得た。 1.二酸化炭素吸着粒子であるゼオライト粒子については、二酸化炭素を吸着したゼオライト粒子を希薄塩水流により再生しながら輸送する過程と、二酸化炭素気泡の吸収過程を同時に行う場合を検討した。その結果、希薄塩水流における二酸化炭素気泡の吸収に関する先行結果がほとんどなく、吸収量への溶質の影響が不明であることが明らかになった。したがって、今後、希薄塩水流における二酸化炭素気泡の吸収量の測定が必要である。 2.ミラーと高速度ビデオカメラを用いて、気泡を2方向から撮影する方法を改良した。具体的には、離れた位置から撮影することにより、ミラーにより反射した画像と直接取得した画像の間の光路差を少なくし、気泡画像のボケを減らした。これにより、気泡体積の測定精度を向上させた。 3.二酸化炭素気泡の水への吸収は、水温が低いほど促進されることが知られている。そこで、購入した近赤外レーザーと現有の近赤外カメラを用いて、気泡周囲の水の温度場を非接触で測定する世界初の方法の開発を行った。その結果、測定値のばらつきが小さくなく、局所の微小温度差の測定が容易でないことが明らかになった。したがって、溶解熱による温度上昇の測定は困難であるが、勾配のある平均温度場の計測の妥当性はあると思われる。 4.フェーズフィールド法を用いて、吸収により小さくなる二酸化炭素気泡の数値シミュレーションに世界で初めて成功した。他者の測定結果と比較して、シミュレーション結果の妥当性を確認した。
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