研究課題/領域番号 |
23656159
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
菊地 優 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50344479)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 機械力学 / 建築構造 / 制振 / モニタリング / 風力 |
研究概要 |
本研究では、積雪寒冷地における塔状高層構造物の風応答長期連続観測を実施して、気象条件に応じた動特性の変動を定量化し、制振装置の設計・耐風設計・構造ヘルスモニタリングに資する新たな知見を得ることを目的とする。この目的に沿い、今年度は測定対象建物に振動測定システムを設置して、長期連続観測体制を確立した。計測システムは、微動観測用サーボ型速度計3台を建物内部壁面に取り付け、測定データを10分ごとのファイルに分割して24時間連続して取り込むものである。壁体内の電波状態が悪く通信が不可能なため、当初の計画にあった計測遠隔操作は行えなかった。しかし、無停電電源装置を設置することによって、設備点検時の停電でも計測システムは止まることなく、安定的に計測が継続されている。これまでに回収した計測データ分析からは、構造物の水平方向の固有振動数が概ね0.5Hzであること、日中は振動レベルが大きく夜間は小さいこと、夏は固有振動数が低くなり冬は高くなることなどの変動が確認できた。また、函館海洋気象台の気象観測データの自動取得システムを構築し、構造物の応答速度と風速との相関性についても確認することができた。一方、振動測定と並行して、対象構造物の理論モデルを作成した。対象構造物は制振装置を有しており、これを考慮した3質点の振動モデルを構築して、振動測定結果に基づいてチューニングを施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では3年間の研究期間(平成23~25年度)で、風応答長期連続観測の実施と観測記録の分析・評価を行う。初年度の平成23年度は、計測システムの構築と構造物の理論モデルの作成を予定しており、いずれも計画通り進展した。
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今後の研究の推進方策 |
計測システムの安定稼働が確認できたので、まずは振動測定データの蓄積を図る。また、現段階までに回収した測定データからは興味深い結果が得られており、データ分析プログラムの拡充によって多面的なデータ分析を行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度の平成23年度に計測システムの構築に必要な物品の購入は終えた。なお、現地でのデータ回収作業を1回省略したため未使用額が発生したが、これについては次年度すぐに現地に赴きデータ回収を実施する予定である。次年度はデータ回収に必要な旅費・謝金および成果発表に必要な登録料・旅費が主要な使途である。
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