臨床データとしてのX線CT画像から得られた腫瘍の三次元形状データから内部要素を組み込んだ腫瘍のソリッドモデルを作成した。腫瘍領域のCT値分布により、モデル内の平均質量、密度、質量分布を算出した。ソリッドモデルから腫瘍の三次元有限要素モデルを作成した。これには医療画像解析ソフト(Analyze)と有限要素法ソフト(ANSYS、所有)のインターフェースを作成した。有限要素解析の境界条件等を整理し、有限要素モデルの各要素の支配方程式として、放射線照射ー細胞死滅率関係式を定式化する。またそれらの関係から細胞死滅率と腫瘍領域体積減少率の関係を導いた。○放射線量と等価な外力を負荷させた場合の変形縮小解析を行った。LQモデルの修正と係数の放射線医学的意味を整理した。○上記の照射前有限要素モデルを計算し、照射後の三次元形状モデルと一致させるための力学条件と要素パラメータを同定するための方法を検討した。○治療による放射線パラメータ(放射線量、照射時間、照射間隔、照射速度、照射密度、発症領域、周囲状況、等)を縮小に関係する因子として整理する。また、力学パラメータおよび要素パラメータと放射線パラメータの関連を整理した。バイオインフォマティクス解析に基づく分子細胞情報と放射線治療効果シミュレーションのパラメータおよび治療パラメータについて相互の関連性を解析した。システムバイオロジーの観点から放射線による癌化および癌細胞死滅のメカニズムを仮定し、力学アナロジーに基づくモデルで実際の放射線治療効果シミュレーションを行った。各パラメータの相互関係をシステムバイオロジーとしてとらえ、それらの関連性を整理した。これらの結果から、システムバイオロジー適用の是非を考察し、今後の課題等が明らかとなった。
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