研究課題/領域番号 |
23656175
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高増 潔 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70154896)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 超精密計測 / トレーサビリティ / 三次元測定 / フェムト秒レーザ |
研究概要 |
2009年7月にフェムト秒レーザを利用した光周波数コム装置が,計量法で定める長さの国家標準(特定標準器)となった.従来の特定標準器より精度が300倍になっただけでなく,長さ計測を直接的に計量トレーサビリティ制度へリンクすることができるようになった.開発しているフェムト秒コム距離計は,高精度(例えば100mを10μmの精度),高速(10kHz以上)に絶対距離を計測できる新しいシステムであり,国家標準と直接つながっている. この距離計をファイバネットワークおよびスキャナーに接続することで,生産環境においていつでもどこでもトレーサブルな絶対三次元計測を可能にするという挑戦的な提案である.生産環境を絶対三次元空間化できれば,工場のライン配置のための位置計測,工作機器等の設置,組立部品位置の管理,大型構造物の計測などを簡単に絶対的,三次元的かつ低価格で行うことができ,日本の次世代のものづくりの高度化,環境負荷の低減,安全安心の確保などを飛躍的に推進することができる. 本年度は,主に概念設計を行った.まず,フェムト秒コム距離計の基本的な性能について理論的に検討を行った.この検討に基づき,既存のフェムト秒レーザにより距離計を構成し,基礎実験を行った.この基礎実験により研究の目的に対応できることが確認できた.つぎに,光ファイバとフェムト秒レーザを接続することにより,フェムト秒レーザを配信できることを確認した. 以上の検討により,基本計画のフィジビリティを確認することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的に対して,本年度の研究は以下の2つの点に絞って行った.まず,概念設計として,フェムト秒コム距離系を使ったフェムト秒レーザランの基本的な構成を検討し,そのフィジビリティ(測定精度,測定時間,コスト,環境)の検証を行った.既存のフェムト秒レーザを用いて,基本実験を行い.概念設計の基本的な検証を行った. つぎに,三次元化のための検討を行った.現状のフェムト秒コム距離計は1次元的な距離計測にのみ使用されている.これを三次元化する場合に必要となるため,スキャナーとCCDカメラの基礎研究を行った. これらの成果により,概念設計およびフィジビリティの評価を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の成果を利用して,スキャナーによる三次元絶対位置計測の方法の基礎実験を行う.キャッツアイを走査して検出する高速な手法の開発方法を行う.キャッツアイと無線ランなどを組み合せて,キャッツアイの位置をデータベースで管理する方法を利用して,コストの低減が行える. 2つのタイプの検討を行う.まず,工場内のキャッツアイの位置のマップを作る機能を持ったスキャナーの設計を行う.つぎに,キャッツアイを利用した工場内の三次元絶対空間化の手法を検討する.CCDカメラおよびスキャナーの校正については,自己校正を用いた方法が有力である.この手法を適用することで,三次元空間の絶対的な計測を高精度で行うことが可能となる.
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次年度の研究費の使用計画 |
まず,概念設計の成果の発表,海外の研究状況の調査を行う.つぎに,スキャナーを利用して三次元絶対位置計測の基本研究を行う.このために,キャッツアイ,スキャナー,CCDカメラ等を購入して基礎実験を行う. さらに,高精度三次元ステージを購入し,既存の三次元測定機をターゲットとして,システムの校正実験を行う.理論的な三次元計測の不確かさ解析の結果を基礎実験により確認する.
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