研究概要 |
細胞を解析する方法論では細胞に電気的計測と電気刺激を入出力するインターフェースを構築する方法が広く用いられている.インターフェースを細胞に接続し,生体の機械的な機能や情報処理能力を既存の工学的な駆動システムやコミュニケーションシステムと融合させ,生体に新たな機能を増やす,あるいは機械システムに生物特有の能力を付加させることを試みることはサイボーグ工学として研究されている. 神経細胞とのインターフェースとしては,超微細加工技術を用いてアレイ状に作製した透明なマイクロ電極が開発されているが,電極の間隔や配置は固定であり任意の細胞活動の計測ができない.このような問題に対してオンデマンド型の電極インターフェースの構築し,任意の場所にインターフェースをアドレッシングする研究が必要である. そこで,これまで我々が報告してきた生きた細胞に対するナノ造形法を応用し,導電性のナノ配線を任意に構築し,細胞に接続するインターフェースを構築することが可能である.これまで我々は電子線を生きたままの細胞に直接電子線を照射し,培養液中に溶解させた前駆物質(EDOT)をナノ構造に電解重合させることに成功している.この電子線を用い任意の時刻に,任意の細胞の部位に0.033S m^<-1>の導電性立体ナノ構造体を造形し,細胞小器官への電気的プローブを構築することが可能ではないかと考えている.
|