勾配磁界空間における酸素ガスの分布制御を利用し,二酸化炭素発生源から排出される二酸化炭素ガスの濃縮について検討を行った.ネオジム永久磁石を組み合わせた磁石ユニットによって,排出口の近傍における常磁性酸素ガスの濃度を高めることで,反磁性磁化率を有する二酸化炭素ガスを容器内に留まらせることを検討した. 容器から濃度計へと排出される二酸化炭素ガスの過渡過程において,永久磁石による勾配磁界下で酸素濃度を高めた条件では容器からの二酸化炭素ガスの排出が抑制された.また,二酸化炭素の容器への排出を停止させた後の経過は,いずれの条件も一定の割合で濃度の低下が見受けられた.この結果は,永久磁石付近にて容器内の酸素ガス挙動が変化したことにより,排出口から外部への二酸化炭素ガス移動を阻害する効果が生じたことに加えて,反磁性磁化率を持つ二酸化炭素ガスが排出口に近づきにくくする効果が補助的に働いていたと考えられた.さらに酸素ガスの補填を増加させた場合,容器から排出される二酸化炭素ガス流量は平衡状態に早く到達した.すなわち,勾配磁界下で酸素と二酸化炭素濃度を調整することで二酸化炭素輸送速度が制御可能であった. また,二酸化炭素の小型冷凍磁気分離プレートの開発のため,磁界中心に二酸化炭素の通過するパスを常磁性物質層で形成させ,低磁界側に二酸化炭素の集積部位をつくる条件を実験的に解析した.液体窒素によりマイナス80℃以下に冷やした金属プレートに接触した二酸化炭素ガスの分布に及ぼす勾配磁界効果を観測した.最後に,小型永久磁石と分離カラムを組み合わせ,勾配磁界分布を活用した磁気分離カラムを通過・分流するプロセスの開発に取り組んだ.常磁性ゲル(硫酸銅)をクロマトカラム内で凍結乾燥させた分離カラムの試作と,二酸化炭素を含んだエアロゾル(線香煙)の通過速度の計測を行った.
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