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2012 年度 実施状況報告書

ナノチューブ電子エミッタ型太陽エネルギー変換システムの可能性探究

研究課題

研究課題/領域番号 23656197
研究機関豊橋技術科学大学

研究代表者

滝川 浩史  豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90226952)

キーワードカーボンナノチューブ / エミッタ / 太陽エネルギー変換 / 太陽熱 / 太陽光 / 真空デバイス
研究概要

CO2排出量を削減し,地球温暖化を防止するためには,再生可能エネルギーのひとつである太陽エネルギーの積極的な利用が必要である。本研究では,カーボンナノチューブを電子エミッタとして用いた真空式太陽エネルギー変換デバイスの実現可能性を萌芽研究として探る。この変換デバイスは,太陽熱と太陽光とを併用した変換駆動方式を狙うものである。本研究期間においては,新規デバイス構造および機能発現の可能性探求を主目的としている。本研究の特色は,電子放出特性に優れたナノカーボンを用いること,研究代表者が考案した長寿命電子放出素子構造を用いること,新規熱光併用発電デバイスの可能性に挑戦することなどである。新規考案の長寿命電子放出素子は,多孔エミッタと多孔グリッドを有し,電子はその多孔をすり抜けてコレクタ(アノード)へ到達する構造を有する。そのため,スルーホール型電子放出デバイスと呼ぶ。初年度は,2種のスルーホール型電子放出デバイスを作製し,加熱した際に電子放出特性が変化するかどうかを確かめた。次年度では,デバイスの特性改善に努めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

既開発のスルーホール型電子放出素子では,イオンアブソーバが金属,エミッタ基板は通常のSiウエハであった。これでは集熱および光透過ができない。そこで,熱および光の影響を計測できるように,各要素電極など以下のようにすることを考えている。エミッタ電極:多孔処理Siウエハを用いるが,熱伝導性を確保するため,導電性カーボンをコーティングする。コレクタが対向しない面(裏面)にナノカーボンを配置する。エミッタ材:長期安定性がある多層カーボンナノチューブ(MWCNT)を用いる。コレクタ:仕事関数の低いWO2塗布W基板電極を用いる。イオンアブソーバ:太陽光を透過させるため,ITO透明電極を用いる。シーズガス:空間電位と電極仕事関数を調整するため,セシウムガスを封入する。ガス圧を可変できるようにしておく。
以上のような設計に対し,初年度は,間接加熱機構を有したスルーホール型電子放出デバイスと直接加熱機構を有したデバイスの2種類を設計・作製した。前者はバーナーで加熱するタイプで,後者はエミッタに電熱ヒータを接触させたものである。これらのデバイスにおいてカーボンナノチューブ電子放出素子を加熱すると電子放出効率が向上することがわかった。次年度は,同デバイスに対し,加熱方法などを変更して電子放出効率の改善のためデバイス構造の一部変更を図ったが,残念ながら特性の改善にはつながらなかった。一方,カーボンナノチューブの代わりにカーボンナノコイルを利用することも念頭に入れ,CVD法におけるカーボンナノコイル合成の最適条件探索を進めた。

今後の研究の推進方策

改良した各電極・デバイスを設計・製作し,次の実験を進める。セシウムガスを封入したデバイスを作製する。同デバイスに対し,電子エミッタの寿命試験,加熱試験を行い,I-Vカーブを計測する。セシウム圧をパラメータとする。まず,加熱によって電子放出が認められた後,光照射を行い,電子放出特性の変化を把握する。以上の試作・実験を通し,電子エミッタとして用いた真空式太陽エネルギー変換デバイスの実現可能性に目途をつける。
なお,熱だけを利用した場合,つまり,熱電発電とした場合,出力電圧Vはコレクタの仕事関数φC が小さいほど高くなり,また,電流密度は熱電子を利用するためRichardson-Dushmanの式に律束される。しかしながら,今回提案の装置ではSchottky効果および外部光電効果を併用するため,従来のモーティブ図では解釈できない。機能発現した際には,本提案装置の構造をもとに,動作を理解し,理論的考察や解釈を行う。

次年度の研究費の使用計画

主に真空デバイスの作製に用いる。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 学会発表 (9件) 備考 (1件)

  • [学会発表] カーボンナノコイル添加によるバッキーペーパーの機械的特性の向上2013

    • 著者名/発表者名
      丸山 皓司, 須田 善行, 滝川 浩史, 田上 英人, 植 仁志, 清水 一樹, 梅田良人
    • 学会等名
      第44回フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      20130311-13
  • [学会発表] Measurement of electric resistance of a single carbon nanocoil2013

    • 著者名/発表者名
      國本 隆司, 米村 泰一郎, 須田 善行, 田上 英人, 滝川 浩史, 植 仁志, 清 水 一樹, 梅 田 良人
    • 学会等名
      第44回フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      20130311-13
  • [学会発表] Improvement of chemical vapor deposition for the purity of multi-walled carbon nanocoils2013

    • 著者名/発表者名
      Y. Suda, S. L. Lim, K. Maruyama, H. Tanoue, H. Takikawa, H. Ue, K. Shimizu
    • 学会等名
      ISPlasma2013
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      20130128-20130201
  • [学会発表] カーボンナノコイルの分散に対する界面活性剤の比較2012

    • 著者名/発表者名
      丸山 皓司, 須田 善行, 田上 英人, 滝川 浩史, 植 仁志, 清水 一樹, 梅田 良人
    • 学会等名
      平成24年度電気関係学会東海支部大会
    • 発表場所
      豊橋技術科学大学
    • 年月日
      20120924-25
  • [学会発表] Effects of Dielectric Barrier Discharge Treatment COnditions on Carbon Nanofibers -Their Stand-up and Enhancement of Field Emission Property-2012

    • 著者名/発表者名
      Y. Suda, Y. Sugioka, R. Kunimoto, H. Tanoue, H. Takikawa, H. Ue, K. Shimizu and Y. Umeda
    • 学会等名
      IUMRS-ICEM 2012 (Internariona Union of Materials Research Societhies - International Conference on Electronic Materials 2012)
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      20120923-20120928
  • [学会発表] カーボンナノコイルの引張前後における電気抵抗の測定用試料の作製2012

    • 著者名/発表者名
      國本 隆司, 米村 泰一郎, 須田 善行, 田上 英人, 滝川 浩史, 植 仁志, 清水 一樹, 梅田 良人
    • 学会等名
      第73回応用物理学会学術講演会
    • 発表場所
      愛媛大学・松山大学
    • 年月日
      20120911-14
  • [学会発表] SEM内におけるカーボンナノコイルの電気的特性の測定2012

    • 著者名/発表者名
      國本 隆司, 米村 泰一郎,須田 善行,田上 英人,滝川 浩史,植 仁志,清水 一樹,梅田 良人
    • 学会等名
      第43回フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      20120905-20120907
  • [学会発表] 分散時間に対するカーボンナノコイルの長さ依存性2012

    • 著者名/発表者名
      丸山 皓司, 須田 善行, 滝川 浩史, 田上 英人, 植 仁志, 清水 一樹, 梅田 良人
    • 学会等名
      第43回フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      20120905-07
  • [学会発表] 黒鉛化処理がカーボンナノコイルの引張変形に及ぼす影響2012

    • 著者名/発表者名
      國本 隆司, 須田 善行, 滝川 浩史, 田上 英人, 植 仁志, 清水 一樹, 梅田 良人
    • 学会等名
      日本ばね学会秋季定例講演会
    • 発表場所
      京都タワーホテル
    • 年月日
      2012-11-02
  • [備考] プラズマエネルギーシステム研究室

    • URL

      http://www.pes.ee.tut.ac.jp/

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公開日: 2014-07-24  

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