研究課題
半導体・蛍光体ナノ構造や量子構造においてナノメートル領域で起きる発光過程の動的観測を行うには、サブマイクロメートル台の空間分解能とピコ秒台の時間分解能を兼ね備えたスペクトロスコピーが必要となる。本研究の目的は、禁制帯幅が広い材料にもキャリア励起が可能であるがその発生が困難なフェムト秒~ピコ秒パルス電子線を高効率で発生し、それをナノメートル台の微小領域に集束する時間・空間同時分解カソードルミネッセンス(STRCL)計測装置を構築・確立し、ワイドギャップ半導体量子井戸・ナノ構造において転位等の構造欠陥が非輻射再結合寿命に与える影響や、ナノ構造サイズが輻射寿命に与える影響を把握することである。平成24年度は、従来用いていた背面入射型光電子銃(PE-gun)に代わって、励起効率も光電子総量も高くできる前面入射型PE-gunの開発を行いSTRCL計測に用いた。その結果、光電子量は従来に比べ1桁以上増加した。これと2次電子検出器の改良により、当該PE-gunを走査型電子顕微鏡(SEM)に組み込んだSTRCL装置の空間分解能も約10倍に改善した。これら一連の成果により加速電圧を広範囲に変化させられるようになり、高空間分解能STRCL測定が可能になった。また、低加速電圧(6.5 kV)においてサブマイクロメートルの空間分解能を維持しつつ、表面近傍の構造に対するSTRCL測定の感度が向上することも実証した。具体的には、フェムト秒電子線による励起が有効なAlN、高AlNモル分率AlGaN混晶の局所発光ダイナミクスを調査し、カチオン空孔密度と非輻射再結合寿命、不純物総量と低温の輻射再結合寿命に強い相関があることを明らかにした。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 3件)
Electrochemical Society Transactions
巻: Vol. 50, No.42 ページ: 1-8
Physica Status Solidi (c)
巻: 10 ページ: 501-506
10.1002/pssc.201200676
Applied Physics Letters
巻: 101 ページ: 212106 1-4
10.1063/1.4767357