研究課題/領域番号 |
23656210
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
須田 良幸 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10226582)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | Ge成長 / 歪 / 平坦化 / 緩和 / 表面泳動 / 島状成長 / SK成長 / 90度転位 |
研究概要 |
研究代表者が開発した環境軽負荷型のスパッタエピタキシー法を用いてPをドープした低抵抗Si基板上にGeが平坦化成長するという研究代表者が見いだしたGeの平坦化成長法の成長機構・原理を、X線回折による結晶性、ラマン分光法による歪評価、断面TEM像による成長構造と転位構造の分析等により解析した。3.5ΩcmのSi基板上ではGeはSKモードで島状成長するが、0.015Ωcmという低抵抗Si基板上ではGeは平坦化成長して、成長したGe表面のラフネスはLSI基板に要請されるレベルの0.31nmが得られた。3.5ΩcmのSi基板上ではSKモードで島状成長すると同時にSi-Geのミキシングが生じ、Ge成長膜はほとんど完全緩和する。0.015ΩcmのSi基板上では層状(レイヤーバイレイヤー)成長して歪が増加し、一定の歪量を超えたところで、90度転位が発生して、歪がある程度緩和する。その後、一定の歪のまま層状成長することが判った。ガスソースMBEでは、0.015ΩcmのSi基板上においてもGeは島状成長する。このため、スパッタエピタキシー法で0.015ΩcmのSi基板上で初期から層状成長するのは、スパッタエピタキシー法でのGeの表面泳動長がガスソースMBE法より短いことと、不純物のPがGeの表面泳動を抑制するという相乗効果で、Geの島状成長が抑制されたと考えられることが判った。以上、スパッタエピタキシー法を用いて、Pドープの低抵抗基板上にGeが平坦化成長する機構が明らかとなり、さらに、高抵抗基板上に島状成長する機構との成長機構の差異も明らかとなった。本成果を基盤にさらに進展が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Pドープした低抵抗Si基板上でのGeの平坦化成長、および、高抵抗Si基板上でのSKモードによる島状成長のとの成長機構の差異、および、Pドープした低抵抗Si基板上での平坦化機構を明らかにし、本スパッタエピタキシー法を用いたSi上に直接形成するPのサーファクタントによるGe平坦化成長の原理機構の解析という主要な年度計画を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
23年度に引き続き、基板抵抗、成長温度などの、成膜条件と結晶成長特性との相関を系統的に調べて、本スパッタエピタキシー法を用いたSi上に直接形成するGe平坦成長の原理機構(Pサーファクタントのミクロな原理機構)を明らかにする。さらに、移動度などの電気的特性と不純物分析、表面欠陥レベルなどを継続的に、系統的に調べ、形成するデバイスの特性との適合性を評価する。さらに、応用展開の視点から、高抵抗Si基板上に高濃度PドープSi超薄膜を形成してPのサーファクタント効果を得る方法、Ge酸化膜の形成等を行い、Ge-MOS素子の製造に整合する電気的特性評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
試料作製のための消耗品として、電子材料(スパッターターゲット、蒸着材料など)+電子部品(維持・交換・試作用)+真空部品(交換バルブ、配管、ガスケット、酸化炉石英管など)を購入する。成長様式を調べるための断面TEMやSIMSの分析費に用いる。さらに、国内学会発表経費1回分、外国国際会議発表経費 1回分、英文校閲などの謝金、および、その他(論文別刷りまたは成果報告用印刷費+論文投稿費)に用いる。
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