研究課題/領域番号 |
23656212
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
森本 章治 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (60143880)
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研究分担者 |
川江 健 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (30401897)
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キーワード | 酸化鉄薄膜 / Bi系酸化鉄薄膜 / ショットキー接合 / 強誘電体分極誘起光起電力素子 / パルスレーザ堆積PLD |
研究概要 |
2年間の研究期間を通して、母体材料として不純物を添加しない純粋な酸化鉄(α-Fe2O3)薄膜及びBi系酸化鉄強誘電体薄膜(BiFeO3)を選択し、パルスレーザ堆積(PLD)法により薄膜並びに太陽電池構造を作製した。それらの作製にあたり、基板温度や酸素圧力を可変し、アモルファス・微結晶薄膜から結晶薄膜まで結晶性の制御や膜中に含有される酸素濃度の制御を試みた。さらに、これらの材料に対してNbやNdなどの不純物添加あるいはサイト置換により、物性・デバイス特性を評価した。その結果、α-Fe2O3薄膜ショットキー太陽電池で明瞭な光起電力特性を確認した。さらにNd添加BiFeO3薄膜太陽電池で強誘電性分極誘起光起電力効果を確認し、透明酸化物電極の利用による変換効率の大幅な増加に成功し、この新規光起電力効果が反電界効果に由来することを明らかにした。 特に、平成24年度においては、光電変換用半導体としてα-Fe2O3に着目し、結晶性の良いα-Fe2O3ショットー太陽電池構造を作製し評価を行った。その結果、作製した試料の明確な光起電力効果を観測した。そこで、α-Fe2O3のエピタキシャル成長の促進や酸素欠損によるn型ドーピングを目的とし、酸素減圧下で試料の作製を行った。試料のJ-V特性から算出したVOC、JSCの酸素圧力依存性から堆積時の酸素圧力を減らすことによりVOCが増加することを明らかにした。また、酸素圧力0.01 Torrで作製した試料においてα-Fe2O3の(006)単一配向を確認し、この試料における光起電力特性はVOC=-0.140 V、JSC=17.0 μA/cm2となった。光起電力特性改善のために、金属ドーピング効果の調査も行い、α-Fe2O3へのTi、Cu添加に対するドーピング効果を確認した。
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