エレクトロスピニング法により作製される導電性高分子ナノファイバとフラーレン誘導体からなる有機薄膜太陽電池を作製し、その動作特性評価を行った。前年度までに主たる研究計画は完了しており、延長期間として設定した今年度では、それまでに得られた結果を取りまとめ、分子エレクトロニクス国際会議にて報告した。その内容として、発電効率の改善の手段としては、電荷分離が発生するドナー・アクセプタ界面において制御的に作製できるナノ構造を適用することが重要であることを実験的に示すことにより、導電性高分子ナノファイバーが有望であることを説明した。紡糸されるファイバー直径を小さくすることが今後の重要な開発要素となる。 一方で、ドナー・アクセプタ界面の制御作製手段として、インクジェット法を用いた積層構造型の太陽電池素子についても検討を進めた。当初は、溶媒浸食によるナノヘテロ界面の制御作製を念頭に置いて検討を進め、良好な製膜構造の形成とナノ構造形成を両立させるためのインクジェット吐出条件を導き出した。沸点の異なる混合溶媒をうまく利用することが重要となる。また、インクジェットによる製膜前後のアニール条件も、ナノレベルで分離された混合層作製には重要な役割を果たすことを確認した。
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