次年度の研究費の使用計画 |
1) Dyフリー超高保磁力Nd-Fe-B系磁石粉末の開発 平成23年度研究においては,計算機シミュレーションにより高保磁力化のために必要な反強磁性結合軟磁性表面薄層の厚さ等を明らかにした。また,非晶質の結晶化を利用した粒界拡散法により,Nd2Fe14B結晶表面に反強磁性結合軟磁性薄層を形成することを試みてきたが,高保磁力を実現できたのはNd-Cuを拡散させた場合のみであり,この部分では研究が遅れている。平成24年度の研究においては,計算機シミュレーションによる検討を継続するとともに,反強磁性結合軟磁性薄層の実現に重点をおいて研究を進める。すなわち,まず,非晶質Nd-Fe-B磁粉表面に反強磁性結合軟磁性薄層となる可能性のあるFe,Ti, Fe-Ti, Cr, Fe-Cr, Mn,Fe-Mn等をコーティングし,非晶質の結晶化を利用して粒界に拡散させ,反強磁性結合する元素を探索する。その際,コーティング量,拡散条件をパラメータとし,保磁力の増減を評価し,元素をスクリーニングすることにより,実験の効率化を図る。2) 希土類フリー高保磁力磁石粉末の開発 保磁力の起源となる硬高磁性相を3d遷移金属合金に置き換え,1) の研究の成果を利用して,希土類フリー交換結合磁石の実現を試みる。当初の計画では,多様な3d硬磁性相を対象とする予定であったが,研究が遅れ気味であることに鑑み,硬磁性相としてはCo, MnAlを選択して研究を進める。まず,添加元素と超急冷法によりCo, MnAl系の非晶質フレークを作製し,その結晶化を利用して,Ti, Fe-Ti, Cr, Fe-Cr, Mn, Fe-Mnを粒界に拡散させ,反強磁性結軟磁性表面薄層の作製を試みる。この際,1)の実験と同様に,保磁力の増減を評価することにより実験の効率化を図る。
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