電流モード多値VLSIにおいて,入力到来信号と演算完了検出を用いた自律適応動作に基づいた統合電流源制御手法を考案し,複数のロジックモジュール内の電流源を統一的に制御することで,電流源制御を行う制御回路の構成が簡易化できることを明らかにした.提案方式に基づく8ビット8入力のビットシリアル加算器を65nmCMOS設計ルールで設計し,従来構成に基づく電流モード回路と比較すると,稼働率70%,動作周波数200MHzにおいて消費電力は27%に削減された.また,提案方式を動的電源電圧・周波数制御手法へ適用することで省エネルギー演算を実現できることも明らかにした.これらの方式を多値リコンフィギャラブルVLSIへ応用し,低電力化に有用となることを示すことができた.さらに,多値リコンフィギャラブルVLSIの自律適応動作に貢献する新概念である,チップ内多値パケット転送方式に基づく自律的レジスタ間転送を導入することができた.これらは,パケットが有効であることを示す有効フラグ信号を活用した効率的な電流源制御信号転送やコンフィグレーションメモリサイズの大幅減少に有用となるで.さらに,演算セル間の転送のためのスイッチとして多値重畳信号を活用したXネットにより,セル間転送のためのスイッチボックスの複雑性を解消することができることを見いだした.以上の要素技術を融合して低電力性を有する高性能多値リコンフィギャラブルVLSIの新らしい構築技術を確立することができた.
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