研究課題/領域番号 |
23656237
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
斉藤 輝雄 福井大学, 学内共同利用施設等, 教授 (80143163)
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研究分担者 |
立松 芳典 福井大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (50261756)
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キーワード | ジャイロトロン / テラヘルツ / 電子銃 / 国際研究者交流 / 有限電荷効果の抑制 / 2次高調波単独発振 / ロシア |
研究概要 |
本研究の目的は、テラヘルツ帯高出力発振管ジャイロトロンにおいて、2次高調波では0.4 THz帯、100 kW級ジャイロトロン、基本波では0.3 THz帯、200 kW級ジャイロトロンを実現するための小型大電流電子銃設計手法を確立することである。設計目標は、加速電圧65 kV、電子電流10 A、電子流半径3 mm以下、電子流の径方向幅0.3 mm以下で、電子の速度拡がりが充分小さく安定に動作する電子銃である。 初年度の23年度は、電子銃における有限電荷効果を抑制する手法の開発とその妥当性評価、この結果を取り入れた電子銃設計を以下の順に進めた。先ず、電子銃から放出される電子ビームにおける有限電荷効果を定量的に評価する手法を独自に開発した。次に、この評価法を既に開発済みの電子銃設計コードに適用し、既設2次高調波ジャイロトロンの電子銃特性を最適化できる運転パラメータを算出した。この段階でニジニノブゴロド州立大学マヌイロフ教授を研究協力者として招へいし、この算出手法の正しさを検討した。このパラメータでジャイロトロンを運転し、設計手法の妥当性を確認した。特に、有限電荷効果の定量的評価手法の有効性を確認できたことは大きい成果である。この成果を基本波発振0.3 THz帯、200 kW級のジャイロトロンに用いる電子銃の設計に適用し、加速電圧65 kV、電子電流10 Aにて、ピッチ因子1.2以上、速度広がり3%程度の低分散電子ビームを生成できる電子銃の設計に成功した。 24年度は、この設計に基づく電子銃を製作し、別途開発の0.3 THz帯基本波ジャイロトロンに装着したところ、200 kW以上の発振に成功した。これは、陰極表面の電界分布を最適化して、大電流時の特性劣化を防ぐ設計の妥当性を示す。以上より、テラヘルツ帯ジャイロトロン用小型大電流電子銃の高性能設計手法を確立することに成功した。
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