CMOS半導体集積回路技術をベースとしたフレキシブル脳計測・刺激デバイスを試作・機能実証した。本研究で実現したデバイスの最大の特長は、分散型アーキテクチャを採用した構造である。分散型アーキテクチャは、小型のCMOS神経刺激チップを、フレキシブル基板上に分散配置することで、集積回路のスイッチングによる少配線-多点刺激および、チップ内部での刺激信号生成やアンプによる計測性能の向上を狙うものである。 平成25年度は、それまでに実現したCMOS単位チップと、高性能電極を組み合わせたデバイスの試作・機能実証を行った。実現したデバイスは、電極の中にCMOS単位チップを内蔵する"スマート電極"タイプの構造をとっており、既存技術との形状互換性を維持しながら、集積回路搭載による高機能性を実現した。パッケージングには、フリップチップ実装技術を用いており、CMOS集積回路による単位チップはフレキシブル基板および電極によりシールされ、防水性を実現する。デバイスの駆動テストの結果、目的とする刺激・計測機能が実現できた。現在のプロセスは高い技術を必要とし、歩留まりに限りがある。実装プロセスを最適化し、信頼性を向上することによって、脳科学・医療分野に利用できるデバイス技術になると期待される。
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