研究課題
本研究課題では、化学組成とナノサイズの形状を制御したアモルファスカーボン(a-C)ナノドットアレイ電極を創製し、a-C微粒子の示す特異的な電気化学活性の発生メカニズムの解明を目的とした。さらに、有毒ガスであるアルシン(AsH3)、ホスフィン(PH3)に対して高活性なa-C微粒子を創製し、これら有毒ガスを高感度に検出可能なガスセンサーの実現を目指した。平成24年度には、電気化学センサーの材料的基礎である化学組成および形状の異なる導電性a-C微粒子の作成手法を確立し、その電気化学基礎特性の解明により、a-C微粒子をベースとした電気化学触媒反応の制御法の確立を目指した。まず、導電性賦与に用いるp・n型2つの様式における不純物原子の種類、濃度を制御したa-C薄膜の作成を行った。CVD法(RF出力200 W)によるa-C薄膜合成において、アセトニトリルのn-ヘキサン希釈溶液を原料とし、溶液の濃度制御により、n型キャリア密度(N量)を1014 cm-3から7.5×1018 cm-3の範囲で変化させることに成功した。また、ホウ素ドープa-C薄膜合成(RF出力300 W)では、テトラメトキシホウ素のn-ヘキサン希釈溶液を原料とすることで、キャリア密度を1014 cm-3から1.3×1019 cm-3の範囲で制御することを可能とした。また、sp2炭素量の制御(60から90 atom%)にも成功した。a-C中に導入するホウ素原子は、水素発生反応に対する電気化学触媒として働くことが明らかになった。ホウ素添加量を低減したa-Cは、水素発生の反応性を抑制させることができるため、水素発生の標準電位より卑電位側に標準電位が位置するマンガンイオンの還元反応を電気化学的に検出することが可能である。排出基準(0.2 mM)以下の0.02 mMの濃度のマンガンイオンを高感度に電気化学検出することに成功した。
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