研究課題/領域番号 |
23656243
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
後藤 信夫 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (60170461)
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研究分担者 |
柳谷 伸一郎 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (40314851)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 光スイッチ / グラフェン / 可飽和吸収 |
研究概要 |
1. スイッチング条件を緩和できる光導波路回路構成の検討:これまでに提案していた3段の干渉計からなる光スイッチにおいては、振幅増幅率3.383の3段のラマン増幅によりスイッチングの制御を行い、スイッチングされた光強度が38.7倍の増幅を伴っていたが、新たに提案した光導波路回路により、振幅増幅率2.0を1段、振幅増幅率5.317を2段の3段のラマン増幅器により制御を行うことにより、出力ポートには入力光と同一振幅の光が出力されることを明らかにした。第3の出力ポートに13.3倍の不要な光出力を伴うが、出力強度の非対称性が改善できた。2. 単層グラフェンを用いた光スイッチング特性の検討:光スイッチングの制御として、ラマン増幅による光信号振幅の制御の代わりに、グラフェンの可飽和吸収特性による光信号振幅の制御を提案した。以前に提案している2段の干渉計からなる光スイッチ構成において、2枚の単層グラフェンを導波路断面に垂直に挿入した構成により、偏波の異なる10mW/μm2の制御光でスイッチング動作が可能なことを明らかにした。ただし、減衰による制御のため、10.2dBの挿入損失を伴う。3. グラフェンにおける非線形光学効果の検討:グラフェンによる非線形光学効果の評価を行うため、CVDにより作製された銅箔上の単層グラフェンから基板等への転写を実験的に行った。ガラス基板上に転写したグラフェンおよび光ファイバ端面に転写したグラフェンを用いて可飽和吸収特性を評価する実験系の準備を行った。4. グラフェン薄膜を導入した光導波路の作製手法の検:シリカ系光導波路を用いて光スイッチ導波路回路を作製し、グラフェン薄膜による可飽和吸収によるスイッチング制御素子を検討した。グラフェンの導入法として、光導波路をダイシングソーで切断し単層グラフェンを転写する手法と光導波路上面に単層グラフェンを装荷する手法を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スイッチング条件を緩和できる光回路構成の検討に関しては、計画通り進めることができ新しい光回路構成の提案とコンピュータシミュレーションによる検証を行った。さらに、グラフェンを導波路断面に挿入する構成の素子を提案し、報告されている実験データを基に解析のモデル化を行い、スイッチングが可能であることを示すことができた。これらの成果に関しては、国内および国外での学術会議において報告を行った。 グラフェン薄膜装荷光導波路の作製手法の検討に関しては、CVD法による作製された単層グラフェンを光導波路上に転写する方法、あるいは光導波路をダイシングソーにより切断し断面にグラフェンを転写したガラス基板を挿入する方法を検討した。作製手法に関しては、ほぼ計画通り検討を行うことができた。 グラフェン装荷光導波路における非線形光学効果の測定に関しては、購入したグラフェンのガラス基板への転写に手間取り、非線形光学効果の測定にまで至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
光スイッチの導波路回路構成に関しては、さらにスイッチング特性、制御効率を改善できるよう検討を行っていく予定である。また、初年度では光導波路断面にグラフェンを挿入する回路構成を提案したが、導波路上に装荷する形状の光スイッチに関してもさらに検討する必要がある。 グラフェン薄膜の可飽和吸収特性およびラマン散乱特性に関しては、CVD法で作製された市販のグラフェンをガラス等の基板に転写して実験を行っていく予定である。 グラフェンの可飽和吸収を利用したスイッチングに関して、集積回路型の素子とともに光ファイバからなるスイッチ構成での実験的検証も検討していく必要がある。グラフェンの誘導ラマン増幅を用いたスイッチングに関しては、グラフェン装荷導波路における誘導ラマン増幅の確認から行う必要がある。 光スイッチングおよび光パケットスイッチシステムへの適用の検討に関しては、購入済のシリアルビット誤り率測定装置を用いて、パルス応答特性、パルスパターン効果、スイッチングに伴う光信号対雑音比の劣化、ビット誤り率等の計測を行いシステムへの適用の可能性を示していく必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度10,720円の繰越額があるが、平成24年度の備品あるいは消耗品等に使用する予定である。
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