研究課題
1.グラフェン装荷光導波路における可飽和吸収の実験的検討: ソーダガラス基板上にカリウムイオン交換導波路を作成し、その導波路上に、長さ7mmの領域においてCVD法により銅箔上に作成された単層グラフェンを転写した。1550nm帯のフェムト秒レーザを導波路端面から入射し、入射強度に依存した挿入損失を確認した。TEおよびTMモードに対して共に10dB以上の損失変化が確認できた。この値は、提案する光スイッチングの制御には十分である。またTMモードに対する減衰はTEモードに比べて光信号が弱いとき10dB程度であり、光強度とともに差は減少することを確認した。2.可飽和吸収に屈折率変化を伴う場合のスイッチング条件の検討: これまで、可飽和吸収に伴う屈折率変化は無視できると仮定して光スイッチの構成を検討していたが、垂直入射のグラフェンにおいて生じる屈折率変化の実験的結果が報告されたため、屈折率変化を伴う可飽和吸収を用いたスイッチのスイッチング条件を理論的に明らかにした。その結果、屈折率変化が存在する場合、スイッチングに要する制御光の強度を低減できる可能性があることが明らかになった。また、任意の屈折率変化が存在する場合にも可飽和吸収の大きさと固定減衰器および固定位相シフタの設定値を調整することによりスイッチングが可能であることを明らかにした。3.多層グラフェンにおける可飽和吸収と位相変化の評価: 報告されている3層グラフェンにおける可飽和吸収と以降変化の実験値をもとに、一般にN層のグラフェンにおける吸収と位相変化を理論的に評価した。この結果より、スイッチングに必要となるグラフェン層数が明らかになる。導波路にグラフェンを垂直に挿入する素子構成で本解析結果は用いることができる。
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IEEE Photonics Journal
巻: vol.5, no.5 ページ: 6602109-1--9
10.1109/JPHOT.2013.2284256