研究課題/領域番号 |
23656257
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
花岡 悟一郎 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報セキュリティ研究センター, 研究チーム長 (30415731)
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研究分担者 |
AFFELDT Reynald 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報セキュリティ研究センター, 研究員 (40415641)
ATTRAPADUN Nutt 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報セキュリティ研究センター, 研究員 (40515300)
縫田 光司 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報セキュリティ研究センター, 研究員 (20435762)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 公開鍵暗号 / 証明可能安全性 / 選択暗号文攻撃 / ゼロ知識証明 / 公開鍵暗号基盤 |
研究概要 |
本研究においては、近年の緊迫した世界情勢を鑑み、高度に安全であると同時にテロリスト等による悪用を許すことのない情報通信ネットワークの確立を大きな目的とする。特に、そのようなネットワーク社会において真に要求される全く新たな暗号技術の実現を目指す。現在、多くの研究者による活発な研究開発により、最新の暗号技術によって提供される安全性は極めて高度なレベルに達していると考えられる。その一方で、そのような技術は、テロリスト等が犯罪行為を行う際の情報伝達にも非常に有用な技術となっている。この事態を根本的に解決する技術の創出が本研究の目標となる。三年計画の初年度である平成23年度においては、公開鍵暗号全般、特に、キーワード検索可能暗号などの周辺分野について研究動向を調査し、得られた知見を元に提案方式のプロトタイプの設計を行った。具体的には、まず、実用的な公開鍵暗号を設計するための一般的手法を整理し、それに関する新たな方法論の提案を行った。さらに、それにより得られた知見を用いて、最終目標とする上記技術のプロトタイプとして、平文空間に関して動的な制限を加えることが可能な公開鍵暗号方式の設計を行った。これらの成果は、国際英文誌IEICE Trans. on Fundamentalsおよび国際会議IWSEC 2011(Springer-Verlag社 Lecture Notes in Computer Scienceに収録)に採録されている。研究計画においては、当初は平成23年度にはプロトタイプの実装実験までを予定していたが、実際にはプロトタイプの構成が理論的にも非常に高度なものとなったことから、実装よりも理論解析を中心に研究を進めている。特に、厳密な数学的安全性評価を行い、妥当な安全性定義の上で、同方式が証明可能安全性を持つことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画において設計を予定していたプロトタイプが予想よりはるかに理論的に高度なものとして仕上がったため、そこからさらに多岐に渡る理論研究が派生し、学術的に興味深いさまざまな成果が得られており、平成24年度においては質・量とも一層高度な学術的成果が期待されている。
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今後の研究の推進方策 |
プロトタイプがほぼ完成していることから実装研究の推進も検討しているが、上記の通り、理論的研究を推進することでより高度な理論的基盤を構築できそうであるため、研究メンバーの配置について主にそちらに集中させることで、質・量とも一層高度な理論的成果の創出を目論むものとする。また、その一方、研究メンバーの余力に応じて実装実験も適切に進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度においては、上記の通りプロトタイプ設計から派生した理論研究を推し進め、確固たる理論的基盤を構築していくことが目標であり、本研究費はそれらの成果発表を行うための旅費や別刷り代に主に使用する。また、プロトタイプの実装実験用の計算機の購入費用にも充当する。次年度使用額は、平成23年度中に得られた未発表成果の発表のための旅費や別刷り代に主に使用する。
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