研究課題/領域番号 |
23656259
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
菊池 弘昭 岩手大学, 工学部, 准教授 (30344617)
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研究分担者 |
石山 和志 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (20203036)
枦 修一郎 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (90324285)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 磁壁移動 / 磁区観察 / 格子欠陥 |
研究概要 |
本年度は、磁区観察と検出コイル出力の同時モニタリングを実現するための研究設備環境の整備および観察試料の作製準備を中心に研究を遂行した。以下、その成果をまとめる。1. 現有施設であるカー効果磁区観察用顕微鏡に設置可能な試料用ステージ、磁界印加用コイル及びコイル出力信号を検出するための計測冶具を準備した。2. 予備実験として、磁性薄膜上に薄膜コイルを形成した。磁界印加により磁性薄膜の磁壁移動が生じ、その磁化変化に対応するパルス電圧出力が薄膜コイル両端に発生し、計測可能なことを確認した。この結果と1.の結果より、磁区観察と検出コイル出力の同時モニタリングが行える環境を整えた。3. アモルファス磁性膜のスパッタレート出しを行い、成膜条件を決定した。また、磁界中熱処理を行い、磁界印加方向、熱処理温度、印加磁界強度により異方性の方向、大きさが制御可能であることを確認した。4. 磁性薄膜素子のパターンニング及び検出コイルとして薄膜コイルを用いるので、その微細加工用のフォトリソマスクの設計を行い、マスクの作製を行った。磁区構造の制御を念頭に、様々な素子形状の試料に対応するような設計とした。5. 3,4により磁区構造制御可能な素子作製の準備が整えられた。6. 既存のフォトリソマスクを利用して、磁気異方性の制御を行い、磁区構造を制御したアモルファス磁性膜を作製し、磁界印加時の磁区構造変化について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の「研究実施計画」に記載した、磁区観察と検出コイル出力の同時モニタリングを実現するための研究設備環境の整備および観察試料作製準備は完了したため。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に準備が完了した試料作製手法により観察用試料を作製し、その磁区観察及び検出コイル出力の同時モニタリングを実施する。磁壁移動(移動速度や移動距離)と検出コイル(コイル寸法、リフトオフやコイル配置を変化)出力との定量的対応について実験的に明らかにする。続いて、微細加工技術を用いて、人工的な模擬欠陥を導入して素子を作製し、欠陥と磁壁の相互作用が生じた場合の磁壁移動と検出コイル出力との対応についても検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
磁区観察・センサ出力同時モニタリング用ステージは当初予算より若干安価に構築できた一方、磁区構造制御素子用のマスク作製に費用をかける必要が生じた。今年度もマスク作製は行い、次年度始めに素子作製を行うが、それらを用いて検討を行った結果を反映させて再度マスク作製を行う費用が必要である。今年度分費用の一部を次年度マスク作製に費用に充てる。また、素子作製では学外施設を使用するので、その旅費と素子作製における消耗品に当初の次年度研究費を使用する。
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