研究課題
本年度は、昨年度と比較してより微細な加工を行った磁性薄膜を作製し、磁区構造や磁壁挙動の違いについて検討し、以下の知見を得た。1.磁壁挙動については、欠陥がない場合、磁界変化で磁壁は自由に移動を行う。初期に欠陥を導入した後に磁界中熱処理を行った場合には、磁壁が欠陥に交差し、外部磁界印加による磁壁移動は生じないことを確認した。2. 磁界熱処理後に欠陥を導入した場合、磁界ゼロの状態では、磁壁が欠陥に交差することはないことを確認した。一方で、磁界印加することで磁壁移動が生じる際には、磁壁が欠陥にトラップされることを確認した。また、複数個の欠陥がある場合には最大径の欠陥に磁壁がトラップされる傾向にあることが明らかとなった。3. 磁区観察画像の結果から、局所的な磁化曲線変化の見積もりを行い、欠陥形成の前後で磁化過程挙動が変化することを明らかにした。4. 容易軸方向や困難軸方向など試料に対する磁界印加方向を変化させることで磁区構造が大きく変化する。試料形状によらず、いずれの試料であっても困難軸方向印加時には容易軸方向印加時に比べ細分化された磁区構造となることが明らかとなった。これらの実験結果から、局所領域の磁区構造制御、磁気特性制御の可能性を示すことができた。本研究において、微小欠陥がある場合には磁区構造が変化することに加え、その欠陥位置に磁壁がトラップされることを明らかにした。また、形状の違いによって磁区構造や磁壁挙動に違いが生じることも明らかにした。これらの知見を基に局所領域における磁区構造制御、磁気特性制御の可能性が示された。
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Journal of Applied Physics
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