本研究では、申請者グループが世界をリードし研究成果を蓄積してきた多点型・分布型光ファイバセンシング技術に基づいて、極狭線幅DBRファイバレーザを用いた新たな能動型光ファイバ歪センサを提案し、0-100Hzの低周波数領域において、1ナノストレインという今までにない超高精度の歪センシング技術の創成を実証する。この技術により、地球計測・地震研究分野に求められている多地点低コストで設置・維持可能な地殻変動観測の手段を提供することができ、地震観測研究、地下大規模空間のモニタリングなどの多分野にも大きく貢献することが期待できる。具体的に、本研究では、2偏波モー発振DBRファイバレーザを構成し、レーザの発振周波数とファイバの複屈折で決められる2偏波モード間のビート周波数との2つのパラメータにより、歪と温度を分離測定し、温度変動の影響を精密に補償する。よって、本研究の目的は、(1)新たな多点化能動型光ファイバ歪センサおよびその温度補償手法を提示する、(2)今まで実現できないナノストレイン歪精度にチャレンジする、(3)地球計測や地震研究に貢献する、ということにある。 本年度は、前年度に設計と作成した偏波維持型DBRファイバレーザにおいて、引続き歪と温度の分離測定および温度影響の補償効果を確認し、超高精度能動型多点化歪センサの構成と評価を行い、能動型多点化光ファイバ歪センサの構成およびその温度補償手法を確認した。また、光周波数領域リフレクトメトリ技術を用いて超高精度歪センサの多点化も検討し、システムの構成および信号処理の手法を確立した。さらに、位相シフトファイバグレーティングとファイバリングを用いた超高精度歪センサにおいて、サブナノストレインの超高歪感度を実現し、フィールドテストで潮汐および地震による地殻変動を記録することに成功した。 本年度の研究成果と関連し、英文学会誌論文1篇、国際会議論文5篇(うち招待講演4篇)、国内学会発表3篇を発表している。
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