研究課題
車載レーダー技術は安心安全な車社会を創出するために重要な技術であり、これまでにも電波や光波を用いた方式が実用化されているが、それぞれ一長一短があった。本研究では、電波と光波の境界に位置し両者の性質を併せ持つパルス状テラヘルツ波(THz パルス)をレーダー波として用いることにより、従来レーダー方式の短所を補い長所を融合してレーダー性能を高度化することを目的とする。今年度は、物質識別型レーダーとしてTHz分光センシングが利用可能性を検討した。まず、自動車関連材料のTHz分光特性を透過配置で計測し、各種材料の吸収係数、屈折率、反射率の各スペクトルを算出した。その結果、スペクトル特性は材料間で異なったものの、物質識別可能な特徴的スペクトル形状(THz指紋スペクトル)は確認されなかった。一般に、固体物体におけるTHz指紋スペクトルは、結晶性構造物質のフォノン吸収に由来するものが多いとされている。一方、今回測定したサンプルはいずれも特徴的な結晶構造を有していないため、THz指紋スペクトルを示さなかったと考えられる。一方、車載センシングの識別対象(ヒト、電柱、木、車など)は、材質以外に、それぞれ特徴的な表面粗さを有している。したがって、サンプルにTHz波を照射した場合、サンプル表面粗さがTHz波長オーダーであるならば、その散乱スペクトルが表面粗さ(すなわち測定対象)に依存して変化すると考えられる。幸いにも、材料自身のTHz分光特性はTHz反射スペクトルの形状にはほとんど影響を与えないので、THz散乱特性をスペクトル形状から抽出することが可能と考えられる。そこで、アルミ材にサイズの異なる周期構造を加工し、その反射スペクトルを計測・比較したところ、特徴的なスペクトル・ディップが観測された。これは、表面粗さ形状の違いによる物質識別センシングの可能性を示唆している。
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