研究課題/領域番号 |
23656276
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
半井 健一郎 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10359656)
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研究分担者 |
森 勝伸 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70400786)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 骨材 / ポーラスコンクリート / 吸着 / 高性能化 / 重金属 |
研究概要 |
本研究では,一般にはコンクリートでは使用されない規格外の骨材(反応性骨材,再生骨材,ウッドチップ等)を使用したポーラスコンクリートを作製し,これらの骨材が有する特殊な性能をプラスの潜在能力として活用,高性能のポーラスコンクリートを開発することを目的とした.初年度は各種骨材を用いた基礎的検討を行った。反応性骨材を用いた検討においては,骨材の反応生成物の生成による強度増加を期待したが,反応促進にNaOHを用いたことによってセメント硬化体自体の強度が低下したことから,膨張量に対しての単純な強度比較が困難となることが判明した。セメントペーストと参照実験の結果も踏まえて継時的な変化から反応性骨材の生成物質の影響を検討した結果からは,強度増加への寄与は明確にはならなかった。再生骨材を用いた検討においては,高い吸水特性を生かしたヒートアイランド対策効果を検討した。実験の結果,ポーラスコンクリートとしての吸水性や保水性が向上することが示された。また,供試体を屋外に暴露して表面温度を計測することで蒸発冷却効果を検討した結果,再生骨材を使用することの効果が確認された。一方で強度は低下することが課題として明らかになった。ウッドチップを用いた検討においては,水環境での溶脱挙動に着目した耐久性を検討するとともに,蒸発冷却効果や重金属吸着特性などを検討した。ポーラスな構造を有しているものの実用上は問題となる劣化を生じないことを確認するとともに,高い蒸発冷却効果を確認した。ただし,セメント水和時に間隙中のカルシウムイオンをウッドチップが吸着することで水和が阻害されている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
各種骨材(反応性骨材,再生骨材,ウッドチップ)を使用したポーラスコンクリートを作製し,これらの骨材を用いた効果を検討する実験を行い,結果を得て分析を行った。反応性骨材に関してはプラスの効果が認められなかったものの,再生骨材やウッドチップではプラスの効果があることが示され,開発の方向性が示された。一方で,ウッドチップの混合によるセメントの水和反応の阻害の可能性が示唆されたことから,次年度においては詳細な検討を行う。また,初年度は実験による検討に注力したために,数値解析手法の開発についての準備の進展がやや遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
特に高い性能を示したウッドチップ混合ポーラスコンクリートの開発を進めるため,セメントの水和反応に対する影響評価や重金属吸着特性の検討を進める。また,再生骨材に関しては,製造からの炭酸化影響に着目するとともに,フライアッシュのポゾラン反応との相乗効果によって機能向上が得られ鵜可能性も考察されたことから,あらたな実験を実施する。今後は,以上の実験による検討を中心に実施し,当初の数値解析手法による検討は予備的な扱として,現行モデルの範囲内での理論的考察を優先的に実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験に必要となる消耗品の購入とともに,研究代表者の所属の変更に伴い,新しい所属である広島から共同研究者および実験担当学生がいる群馬を訪問しての研究打合せ,ならびに,東京での各種会議や報告会,シンポジウム等への参加による情報収集のための旅費に多くを計上する。また,実験供試体の廃棄費用や一部分析のための外注費用として使用する予定である。
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