研究課題
過密配筋が生じている部材の例として,L字型RC柱梁接合部内の配筋が,破壊性状に与える影響を解明することを目的とし,鉄筋の曲げ内半径を変化させたモデルの数値解析を行った.解析手法としては,接合部における複雑なひび割れ進展を追うために,鉄筋節形状を再現した微細構造解析として,離散解析のひとつである剛体ばねモデル(RBSM)を用いる.鉄筋降伏と新しい境界条件を導入した解析は,堀田らの実験結果の最大荷重値を誤差10%以内で再現し,曲げ内半径毎に異なる破壊性状の再現にも成功した.内部挙動としては,接合部内の鉄筋曲げ部内側に圧縮力が溜まるが,その圧縮領域の大きさは曲げ内半径に依存する.曲げ内半径が小さい場合は,圧縮力が集中し高い圧縮応力を示すため,曲げ内部にて圧壊が生じ,結果的に支圧破壊となる.一方,曲げ内半径が大きい場合は圧縮力が分散するため圧壊は生じず,最終的には曲げ部外側にて鉄筋降伏が生じるため,圧壊が生じる小さい曲げ内半径に比べて最大荷重値は高い値となる.また,FEMの汎用ソフトウェアによる解析的検討も行い,実構造物の過密配筋を意識した柱梁接合部解析においては,本研究が用いているRBSM解析が有用であることを確認した.以上,本研究では,柱梁接合部における曲げ内半径が破壊性状に与える影響を再現できる解析システムを構築した.曲げ内半径以外の詳細配筋に関しても今後検討を加えることで,複雑な破壊性状を示す接合部の内部挙動の解明が可能になると期待できる.
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コンクリート工学年次論文集
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