本研究は,薄板状の小型モルタル供試体を構造物各部位に設置することによって,部位毎のミクロ環境を評価し,部位毎の劣化外力を短期間で定量評価する手法を構築することを目的として以下の検討を行った. i)暴露供試体として用いるモルタルの基本的性質(相組成,空隙量,酸素拡散係数,塩化物イオン実効拡散係数,水分拡散係数)の把握.ii)暴露供試体と同一配合の供試体の促進中性化試験iii)薄板状の小型モルタル供試体の飛来塩分環境,凍結防止剤散布環境,中性化環境への暴露 その結果,下記の成果を得た. ①薄板モルタル供試体を用いることによって,飛来塩分環境下にある構造物の各部位におけるミクロな塩害環境を評価することができた.さらに,薄板モルタル供試体への塩分浸透量から,構造物中での塩分濃度分布を再現することができた.②薄板モルタル供試体を用いることによって,凍結防止剤環境下にある構造物の各部位におけるミクロな塩害環境を定性的に評価することができた.しかし,構造物中の塩分濃度分布を再現することはできなかった.③薄板モルタル供試体を用いることによって,中性化環境下にある構造物の各部位におけるミクロな中性化環境をある程度評価することができたが,雨掛りのある部位の評価については課題が残った.また,中性化環境評価に最適な暴露時期および供試体の配合を明らかにした.
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