研究課題/領域番号 |
23656288
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
五十嵐 晃 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80263101)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 実時間シミュレーション / 並列演算 / 論理回路 / 時刻歴応答解析 / 高速演算 |
研究概要 |
FPGAにより自由度数の大きな構造システムの数値モデルの高速実時間数値演算を行うためのシステムの構築を行うとともに、現実的な演算速度と実装可能自由度数、および目的とする演算を実現するに当たっての方策に関する検討を行った。その結果、多自由度系モデルの地震応答シミュレーションを高速に行うことが可能である論理回路を設計し,論理回路シミュレーションおよび実機FPGAへの実装による検証を行い、FPGAを高速実時間応答シミュレータとして実現した。この成果を基に、演算数および並列化を考慮したFPGAの計算処理能力限界の検討を行い、消費LE数が自由度数の拡大に際してのボトルネックであることを明らかにした。また、リソース共有化が限界自由度数の拡大に効果的であることが示された。この場合、ロジックエレメント数544,880個で応答計算及び制御信号の出力を1kHzで行う場合、非線形多自由度モデルの場合1,600自由度程度まで、密行列モデルの場合、100自由度程度まで現実的に対応できることが分かった。以上の結果に基づき、FPGAの計算ハードウェアとしての性能と実時間ハイブリッドシミュレーションの大自由度・非線形構造モデルの計算処理部分としての応用の妥当性を確認したことから、この手法を実時間ハイブリッドシミュレーションにおける数値部分構造の応答シミュレータに適用することで,実時間ハイブリッドシミュレーションの適用範囲の拡大の実現が可能であることを実証的に示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実時間ハイブリッドシミュレーションのシステムをFPGAで実現するための論理回路を設計し、その論理動作を確認するとともに、実際にFPGAボードシステムに実現することでその動作を検証し、制御処理ボードとして構築したシステムの動作が狙いとした実時間ハイブリッドシミュレーションの数値演算システムとしての要求を満たすか否かを確認するという基本的な目標は、実時間高速並列応答計算の手法が実際に実現可能であることを示したことから、基本的な目標の達成に至ったと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の成果を踏まえて、引き続き実時間応答シミュレーションとそれを用いた実験制御処理システムとしての実現可能性を、実験装置と組み合わせたハイブリッドシミュレーションシステムとして適用し、最低限の試行的実験が行える実験システムの試作や予備的な実験の実施、実験システムとしての機能の確認を行う方針とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
実時間応答シミュレーションと載荷装置と組み合わせたハイブリッドシミュレーションシステムとして実現するためのハードウェアの整備のための物品費、システム整備および実験実施のための補助者の謝金、情報収集および成果発表のための旅費などを研究費として計上し使用する計画である。
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