研究課題/領域番号 |
23656294
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
小峯 秀雄 茨城大学, 工学部, 教授 (90334010)
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キーワード | 廃棄物 / リサイクル / 二酸化炭素 / 吸着 / 地球温暖化 / 低炭素社会 |
研究概要 |
平成24年度は,各種廃棄物のCO2固定化特性を定量的かつ詳細に調査するために,昨年度のバッチ試験を中心とした実験に加えて,一定流量通気型CO2固定化試験を実施した.また,昨年度の結果を踏まえて,有効な廃棄物材料として製鋼スラグを抽出し,本材料を中心に実験的検討を進めた.その結果,大気圧下において,初期濃度が4500mg/LのCO2を0.05 mg/Lで供試体に通気した場合において,エージング製鋼スラグは0.03 g-CO2/g-slagのCO2を固定することが,実験的に明らかになった.また,未エージング製鋼スラグは0.04 g-CO2/g-slagのCO2を固定することが可能であった. さらに,CO2固定化メカニズムの推察について,X線回折および炭酸塩含有量試験によって推察した.その結果,固定化されたCO2は,ほぼ全量が炭酸カルシウムとして存在していることが明らかとなった.また,アベイラビリティ試験によって得られたCa溶出量に基づいたCO2固定化量の評価を行った.これより,本研究のCO2固定化試験では,エージング製鋼スラグおよび未エージング製鋼スラグは,それぞれのもつCa量の約23%および約20%に値するCO2を固定することが分かった. 以上の実験結果とメカニズムに関する推察に基づき,カルシウムの溶出量からCO2固定化量を予測する方法を提案した. したがって,平成24年度までの研究成果から,CO2固定化特性を有する製鋼スラグを有効利用していくことで,温室効果ガスの削減および循環型社会の形成に寄与することの可能性を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
CO2固定に有効な材料として,製鋼スラグを特定でき,さらには,カルシウムの溶出量からCO2固定化量を予測する方法を研究開始2年目でおおよそ構築できたことは,当初の計画よりも半年程度早く進展したと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
CO2固定に有効な材料として抽出した製鋼スラグの新しい有効利用フローを最終年度に提示する.有効利用方法の概念を具体的に提示し,CO2固定化層として利用する際の層厚設計法を,平成24年度までに得られたメカニズム解明研究の成果に基づいて提案する. さらには,CO2固定化層としての利用を終了し,新たな利用に移行するフローを提案する.CO2固定化後の製鋼スラグの新たな利用方法として期待されるのが,重金属吸着材としての利用である.建設現場等で掘削された重金属汚染土の保管のために,従来の吸着材の代わりに利用することが期待されることから,鉛を事例として,その吸着効果を実験的に調査し,有効性を確認する.
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次年度の研究費の使用計画 |
CO2固定化後の製鋼スラグの鉛吸着実験に必要となる実験用具を購入するとともに,研究成果発表のための出張旅費として使用する.
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