研究課題
子年度は,PFとEMアルゴリズムとを組み合わせた手法によって,欠測があるもとで誤差共分散Rtを最尤推定する手法を提案し,その手法の適用性/有効性を,室内要素試験解析,実地盤挙動解析により検討した.その結果,以下のような結論を得た.1)要素試験結果より,EMアルゴリズムを適用することで,決定方法が確立されていなかたRtを最尤推定することができた.特に,Rtが収束するまで反復計算を行った分散値を用いることで適切な地盤パラメータを同定できることが分かった;2)要素試験結果より,反復計算によって推定された分散値を用いることで粒子が退化することが分かった.粒子の退化によって解析値が観測値を包含できない事態を避けるために,反復回数には注意を払う必要がある.本論文では有効サンプル数を導入することで,適切な反復回数を判断することを提案した;3)上記の手順を,真空圧密により改良された調整池基礎地盤に適用し,その解析結果から複数の観測点を対象とする場合においても,観測点間のノイズレベルの違いを考慮して,適切なRtを推定できることが分かった.また,推定されたRtを用いることで,安定した同定結果が得ることが可能となり,実地盤挙動を精度良く表現することができた;4)実地盤挙動解析結果より,実地盤問題における施工初期段階においても少ない観測データで適切なRtを推定できることが分かった.また,推定されたRtを用いて最終的に同定された地盤パラメータを使用した結果,同定期間のみならず,予測期間においても解析値は観測値に近くなっており,高い精度で沈下挙動を予測できることを証明した.
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