研究課題/領域番号 |
23656306
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
日比野 忠史 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50263736)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | MFC / ヘドロ / 浄化 / 発電 / 実用化 / シンプル / 安価 / 高B/C |
研究概要 |
様々な自然現象が起こるヘドロ堆積場においてヘドロ内で発生する電子およびプロトンを利用して微生物環境を活性させる通電機構を実現し、効率よくヘドロを無害化する通電浄化システムを構築している。 ヘドロから電子を効率的に回収することによりヘドロを無害化できる。無害化された栄養分を底生生物に利用させることで、生物自信の力で豊かな生態系を長期的に取り戻させることが可能となる。有機物がヘドロ化することによって滞おっている有機物の流れを正常化し、生物活動が活性化する循環型の社会を構築することを目的として研究を進めている。この目的を達成するため河岸に堆積するヘドロの浄化を効率的に可能にする技術開発を行ってきた。この成果を活用することによりヘドロの浄化速度を向上させながら、実用的なレベルで電力を回収できる技術を開発した。 これまでのヘドロ浄化研究ではヘドロの持つエネルギーを効率的に回収することによりヘドロの浄化が捉進される機構を明らかにしている。これらの成果(発電・浄化機構)を用いて、ヘドロから電子を効率的に回収し、ヘドロを浄化するとともにエネルギー回収する方法を実用化することができた。現在、本装置を現地(海域)に適用し、ヘドロ浄化の効果を評価している。本年度は室内において発電装置のヘドロ浄化実験から有機物の分解メカニズムに関する知見を得た。その内の1つの成果である室内でのヘドロ燃料電池(SMFCS)開発(LEDの点灯)に成功したことを受け、海域で半年間のLEDの発光(浄化能力向上)実験継続中であり、半年間のLED発光を維持している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
第一段階の室内実験(平成23年度計画)は完了し、24年度に計画予定の海域でのLEDの発光に成功した。浄化能力の現地実験の準備は整い、全体的には計画よりも順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
24年度完成予定であったSMFCSによるLEDの点灯は23年度に完成したため、計画は半年程度前倒しになった。海域でのLEDの点灯に成功したことにより、本年度は「発電装置の運転に伴う局所的な有機物の分解機構の把握とSMFCSによる有害物質の溶出抑制の効果について実証する。」ことを重点にして実施する。 具体的にはヘドロ燃料電池(ヘドロのみを燃料として発電する微生物燃料電池)を技術移転するためには、(1) 劣悪な環境下でヘドロから実用的な電力量を回収できること、および(2)発電された1.7V(0.2W)の電力を家庭電圧にまで上昇させることが課題である。(1)の課題のため、(1)-1 水没、干水を繰り返す厳しい環境下にある河岸のヘドロ堆積場において実用的な電力を継続的に回収できること、(1)-2小型化された発電装置単独で携帯電話等の電源となる装置の開発、(2)の課題のため、(2)-1物理的に不可能と考えられるヘドロのみから高い電圧を回収できるメカニズムを明らかにすること、(2)-2ヘドロ燃料電池により回収された電力を家庭電力(100V)まで上昇させる基本技術の開発を行うことを研究開発期間で達成する。 ヘドロ燃料発電システムの技術移転(実用化)を可能にする具体的な目標として、河岸に堆積するヘドロから電気をとり出し街路灯を点灯すること、緊急時の備えとしてヘドロ燃料電池により携帯電話の充電が行え、かつ、通電しながら携帯電話の使用ができることを目指す。なお、ここで開発されるペンシルタイプの燃料電池は単体で浄化装置としても使用できる。
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次年度の研究費の使用計画 |
主な設備備品費(55万)は現地地盤状況測定するための間隙水圧計を購入予定である。消耗品費(20万)は主に室内実験用器材(実験水槽,データロガー,抵抗器,ダイオード,イオン交換膜,カーボンクロス(電極))が使用目的である。実験水槽は20を予定しており、実験水槽の作製を消耗品として計上している。 国土技術政策総合研究所 岡田主任研究官との有機泥の性状に関する情報交換と情報収集のための海洋開発講演会への参加として旅費(15万)を申請する。 その他(10万)は広島県内での有機泥の採取と現地実験を予定しており,現地での状況を忠実に再現するため,段階ごとに採取した泥を速やかに実験に用いるためにその他としてレンタカーを使用する。 謝金等(10万)は,主に有機泥の泥質分析作業に使用される。
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