本研究では,行動ログデータの文脈解析手法の検討を行い,長期間の行動ログデータから人の交通行動に内包される特徴的な行動ルールとその時空間分布を抽出するための方法論の構築を目的としている.平成24年度は,本研究課題の最終年度であり,ログデータの構造化モデルの改良と適用,行動文脈解析モデルの構築と適用,解析結果の可視化手法の開発を行った上で,研究成果のとりまとめと発表を実施した.ログデータの構造化モデルの改良と適用,行動文脈解析モデルの構築と適用では,単純ベイズ分類器及び,隠れマルコフモデルに基づいたモデルを構築した上で,約2年に及ぶ交通系ICカードによるログデータに適用を行った.さらに,解析結果の可視化手法の開発を実施し,長期間のログデータから,行動文脈の特徴的な変動の発見及び行動文脈の解釈をより容易に行うことが可能になった.これにより,個人の交通行動に内在する一定の行動ルールとその前後関係である行動文脈を長期間の行動ログから特徴的な行動パターンとして抽出するための一手法を構築することができるとともに,長期間のログデータを用いた今後の研究の課題を示すことができた.また,研究成果のとりまとめ,および国内外の学会における研究成果の発表として,第45回土木計画学研究発表会での発表及び,国際ワークショップ等での発表を行っている.
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