研究課題/領域番号 |
23656325
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大村 達夫 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30111248)
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研究分担者 |
佐野 大輔 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80550368)
真砂 佳史 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50507895)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ウイルス / 感染症 |
研究概要 |
培養不可能なノロウイルスの代替試験ウイルス粒子として,バキュロウイルス-昆虫細胞発現系により蛍光タンパク質付加ノロウイルス様中空粒子の新規合成を行った。はじめに,ノロウイルスGII/4の翻訳領域ORF3の5’末端に緑色蛍光タンパク質遺伝子(GFP)を付加した遺伝子を作成し,翻訳領域ORF2と共に昆虫細胞sf-9またはHigh Fiveに感染させることでウイルス様粒子を合成した。その後,遠心分離により昆虫細胞を除去し,26,000×g,4℃での超遠心分離により残存するバキュロウイルスを除去した。次に,スクロースクッション法による濃縮を行ったあと塩化セシウム密度勾配遠心法(0.37 g CsCl2/cm3,220,000×g, 40 hour, 4 ℃)により精製した。さらに,ノロウイルス抗体をリガンドとしたアフィニティクロマトグラフィを行うことでウイルス様中空粒子外部にある緑色蛍光タンパク質を除去した。精製後のウイルス様粒子に対し透過型電子顕微鏡での観察および蛍光強度の測定を行った。昆虫細胞High Fiveを使用し,モルモット抗体を用いたアフィニティクロマトグラフィを行った試料の顕微鏡観察においてノロウイルス様中空粒子が観察された。またこの試料からは弱いながらも緑色蛍光も観測できたことから,緑色蛍光タンパク質が付加したノロウイルス様中空粒子の合成に成功したことが確認された。一方昆虫細胞sf-9を使用した系では,本来のウイルス様中空粒子より小さいT=1粒子が多く観察されたことから,ノロウイルス様中空粒子の合成には適していないことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標である緑色蛍光タンパク質付加ノロウイルス様中空粒子の合成に成功しており,順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
研究初年度に準備した緑色蛍光タンパク質付加ノロウイルス様中空粒子を用いて,ノロウイルス培養細胞の探索を行う。まず回転培養器から分化細胞を取り出し,24穴プレート内に接種する.24穴プレート内で分化誘導ホルモン物質を添加されて培養した細胞は,そのまま24穴プレート内でGFP-NoVLP添加実験に使用する.GFP-NoVLPを投入し,37˚C,5%CO2条件下で静置培養を行う.GFP-NoVLP接種後12時間,2時間ごとに蛍光顕微鏡で細胞を観察し,GFP-NoVLPの挙動を観察する.本研究で用いる3種類の細胞すべての関して同様の研究を行い,ノロウイルス感受性細胞及び培養条件の検索を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に使用予定であった研究費に残額が生じたが,当初の想定より物品購入にかかる費用および実験補助のための謝金が安く抑えられたためであり,共に平成24年度の研究を加速させるために使用する。
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