研究課題/領域番号 |
23656327
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
池本 良子 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (40159223)
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研究分担者 |
高野 典礼 石川工業高等専門学校, 環境都市工学科, 講師 (00369969)
中木原 江利 金沢大学, 環境デザイン学系, 研究員 (00547193)
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キーワード | 嫌気性消化 / 下水汚泥 / 硫酸塩還元 / メタン発酵 |
研究概要 |
下水汚泥を硫酸塩還元条件で分解前処理するとともに,リンを固定化することにより,メタンガス回収量を増大し,リン含有量の多い汚泥肥料を生成することを目的に,下水汚泥に硫酸カリウムを添加した連続分解実験を行った。その結果,硫酸塩を添加すると硫酸塩の還元に伴い,汚泥の分解が進行し酢酸が定量的に生成した。また,脱離液中のリン酸濃度が硫酸塩無添加系と比較して優位に低下したことから,リンが汚泥中に蓄積されたことがわかった。生成した汚泥をメタン発酵槽に投入して連続運転を行ったが,硫酸塩還元前処理によるガス発生量の増加は認められなかった。さらに硫酸塩濃度を増加させると,ガス生成が停止した。これは,生成した硫化物の阻害であると推定されたことから,硫酸塩還元前処理汚泥に対し窒素曝気および塩化鉄の添加により溶存硫化物濃度を低下させた後,回分実験によりメタンガス生成量を測定した結果,溶存硫化物を除くことが有効であることが示された。 一方,硫酸塩を直接メタン発酵槽に添加する方法について,連続実験により検討した。その結果,50mg/L程度の低濃度の硫酸塩を添加することにより,ガス中の硫化水素濃度は増加するものの,メタンガス生成量が無添加系よりも増加することが明らかとなった。硫酸塩還元により汚泥の分解が促進されたためと推定された。 両装置における硫酸塩還元微生物叢について活性試験およびPCR-DGGE法により検討を行った結果,不完全参加型の硫酸塩還元微生物と水素利用の硫酸塩還元微生物が共存していることが示された。
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