研究課題/領域番号 |
23656332
|
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
藤原 拓 高知大学, 教育研究部自然科学系, 教授 (10314981)
|
研究分担者 |
深堀 秀史 愛媛大学, 農学部, 助教 (70617894)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 酸化チタン / ゼオライト / 磁性粒子 / 複合触媒 |
研究概要 |
光触媒による医薬品分解と共存物質の影響評価では、合成抗菌剤として使用され、下水二次処理水中での報告事例があるサルファ剤スルファメタジンを対象とし、酸化チタンによる分解を試みた。下水二次処理水中での処理を想定して低濃度(10 μg/L)の水溶液を処理し、光触媒反応による分解を確認した。また、二次処理水中のイオンおよび有機物が分解速度におよぼす影響を調査したところ、有機物による影響が明らかとなったが、酸化チタンによってほぼ分解可能であることが示された。吸着材選定では、高シリカ型ゼオライトを吸着材として用い、酸化チタンと同様に、共存物質や濃度による影響を調査した。低濃度のスルファメタジンに対しても吸着作用を示した他、吸着速度も極めて速く、約30分で平衡に達することも明らかとなった。また、二次処理水中で吸着試験を行い、イオンや溶存有機物は吸着に影響しないことを確認した。酸化チタン/ゼオライト複合触媒の合成では、上記2項で吸着効果が確認された高シリカゼオライト上に酸化チタンを合成し、酸化チタン/ゼオライト複合体を調製した。スルファメタジンの分解に供したところ、吸着材の効果により速やかにスルファメタジンを除去され、吸着されたスルファメタジンも光触媒効果によって分解されていた。また、酸化チタンと高シリカゼオライトを別々に併用した系より除去効率が高く、合成により酸化チタンとゼオライトが協奏的に機能していることが示唆された。磁性粒子合成では、酸化チタン存在下で磁性粒子であるFe3O4を合成した光触媒/磁性粒子複合体を調製した。酸化チタンに対して10wt%の磁性粒子を担持した複合体粒子を用い、磁石との間に作用する磁力を評価した。合成した複合体の光触媒活性を調査したところ、純粋な酸化チタンと比較して活性が若干低下していたが、これは合成時に粒子が合成したことに起因していると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載の平成23年度研究項目のうち、1)各種複合材料の基本性能評価については、「ゼオライトへの吸着特性評価」、ならびに「酸化チタンによる光触媒分解と影響因子」のいずれもおおむね当初目的を達成した。2)磁気分離型複合光触媒の合成条件の検討に関しては、「対象医薬品に応じた酸化チタン-ゼオライト複合材料の調製」を完了するとともに、「固液分離特性の評価」の基礎となる磁力の評価を完了していることから、現在までの達成度として「(2)おおむね順調に進展している。」と自己評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
交付申請書に記載の平成24年度研究項目である、「下水二次処理水中の医薬品吸着」、「ラボスケールリアクターを用いた性能評価」、「磁気分離型複合光触媒による医薬品の吸着・分解反応のモデル化」、「太陽光を利用した低炭素型医薬品処理の検討」を予定通り実施する。また、研究成果を国際学会 Water and Environment Technology Conference 2012 (WET2012)において、Adsorptive Removal and Photocatalytic Decomposition of Sulfamethazine in Secondary Effluent Using TiO2-Zeolite Compositesと題して発表する。これに加えて、各種国内学会で成果発表を行うとともに、学術論文として成果をとりまとめる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に発注した固相抽出装置の納期が遅れ4月納品の予定となったこと、平成23年度3月分の研究員人件費は4月に支払われるために平成23年度に支出されなかったこと、3月に購入した消耗品の支払い手続きが4月になったこと、消耗品の使用量が当初予定より若干少なかったこと、等により上記の繰越しが生じた。平成23年度からの繰越額1588939円と平成24年度配分金額1100000円の合計2688939円を平成24年度に以下の用途に使用する計画である。年度当初に固相抽出装置を購入するとともに、消耗品類として、研究遂行に必要最小限な医薬品分析用固相抽出カートリッジ、LC/MS/MSの消耗品、試薬類、ガラス器具等を購入する。また、研究成果を論文発表するための論文校正、論文投稿料を計上している。国際学会発表および国内学会発表のための旅費を使用するとともに、研究推進のための人件費・謝金を支出する。
|