光触媒、吸着剤、磁性粒子を複合した磁気分離複合光触媒による太陽光活用型の医薬品処理技術の開発を目指し、合成抗菌剤スルファメタジン(SMT)を対象とした研究を行った。実験では太陽光活用を想定し、ブラックライトをUV光源とした。 超純水および下水二次処理水を用いてpH7に調整したSMT溶液に高シリカY型ゼオライト(HSZ-385)、酸化チタン(TiO2)およびこれらの複合材料を適用し、SMTの吸着・分解特性を検討した。HSZ-385を吸着剤として使用した場合、二次処理水中のSMTは急速に吸着され、10分以内に吸着平衡に達した。TiO2によるSMTの分解速度は、超純水中と比較して二次処理水中では遅く、二次処理水中のイオンや有機物による阻害が示された。複合材料(10 mg)を適用した場合には、二次処理水中のSMT(10 μg/L、50 mL)の76%が2時間で光触媒分解された。SMTが複合材料中のHSZ-385に選択的に吸着されることにより、二次処理水中の共存物質による阻害影響は緩和され、その結果二次処理水中で複合材料はTiO2単独の場合と比較して効果的にSMTを除去できることが明らかになった。 次に、磁気分離複合光触媒(TiO2/HSZ-385/磁性粒子)を調製し、これが磁石で回収できること、吸着容量も純粋なHSZ-385と同程度なことを確認した。超純水で調整したSMT溶液50 mL(10 mg/L)をpH7に調整後、複合光触媒50 mgを加え、UVを照射して吸着・光触媒活性を評価した。吸着により水中からSMTが除去された後に、UV照射にともない触媒中のSMT量は緩やかに減少し、6時間のUV照射で約75%のSMTが光触媒作用により分解された。 以上より、太陽光活用型の医薬品処理技術の開発に向けた磁気分離複合光触媒の調製および処理性能評価を完了できた。
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