研究課題/領域番号 |
23656334
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
榊原 豊 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80143204)
|
キーワード | バイオフェントン法 / OHラジカル / DEPMPO / 人工湿地 / 促進酸化処理 / 高度水処理 / ファイトリメディエーション / 水再利用 |
研究概要 |
水生植物を用いた浄化実験を継続して行うと共に、浄化メカニズムについて実験的検討を行い、以下のような知見を得た。 1)オレンジIIをモデル汚染物質とし、異なる第一鉄イオン濃度条件下で行ったウキクサを用いた半連続浄化実験において、鉄イオン濃度が数十mg/Lでは実験初期に供試溶液の吸光度が減少したが、植物は枯れてしまった。一方、鉄欠乏条件下および鉄濃度1mg/L以下では数か月程度浄化が進行したが、その後浄化性能が減少した。したがって、鉄濃度を数m/L程度の条件に設定することがバイオフェントン反応を進めるうえで重要と考えられた。 2) 浮遊植物および沈水植物体内の過酸化水素の分布を顕微鏡により観察した結果、根の根毛、先端、茎の細胞壁および中葉、並びに葉の側部、維管束部に比較的高濃度の過酸化水素が分布していることが分かった。したがって、鉄添加により、このような箇所でフェントン反応が進行していると考えられた。 3) 植物体内の過酸化水素濃度は、16時間/8時間の明暗条件下において安定して維持されること、また暗条件下においても体内に10日間程度維持され、夜間や日射条件の変化に大きく影響されないことがわかった。 なお、鉄イオンを植物の根部等に供給するための方法について現在検討中であり、その方法が決定しだいフィールド試験を実施する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
連続処理に適した鉄イオン濃度および反応箇所を含めたメカニズムに関する基礎資料が得られており、概ね順調に研究が進行していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
鉄を適切な速度で供給する鉄含有粒子について検討し、人工湿地のフィールド試験に適用する。また、処理水の分析を行い、バイオフェントン法の有効性を明らかにする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究費の大半は鉄供給粒子の作製費、分析関連経費およびタイ旅費である。また、研究成果を発表するための旅費および資料整理等の人件費・謝金を必要とする。
|