小型模型実験において相似則を克服するためには、試験体に対して鉛直方向に大きな力を加えなければならない。そのために試験体の重量をただ増やすのでは、水平方向の抵抗能力と鉛直方向の抵抗能力のバランスの変化や固有周期の設定に対応することができず、鉛直荷重の影響を反映した現実的な実験を行うことはできない。そこで、鉛直方向の負荷のみ別の手段で加えることになるが、一般的な振動台を用いて行うには様々な問題があり、実施が困難である。本研究では、上下方向を反転させた倒立振動台実験という新しい概念を導入することで相似則を克服する。 研究2年目にあたる平成24年度においては、動的アクチュエーターに平成23年度の研究成果を踏まえ設計製作した倒立振動台ユニットを組み込み、小型模型を使用しつつも実時間軸に則しかつ現実的な重力の効果も再現する振動倒壊実験を実施した。小型模型には大きな慣性力を生み出すとともに試験体の固有周期を実構造物と同様に長くするための大きな慣性質量を取り付けたが、試験体を倒立させることで、設置時の安定性と安全性を確保するとともに、重力によるP-δ効果を適切に反映させるためのカウンターウェイトを高い位置に置いた滑車を介して設置した。動的アクチュエーターにより観測地震記録の変位波形を入力することで、試験体が倒壊するまでの動的挙動が追跡できることを検証するともに、画像他の倒壊挙動に関するデーターを得た。
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