研究課題/領域番号 |
23656338
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
福和 伸夫 名古屋大学, 減災連携研究センター, 教授 (20238520)
|
研究分担者 |
飛田 潤 名古屋大学, 災害対策室, 教授 (90217521)
護 雅史 名古屋大学, 減災連携研究センター, 准教授 (40447842)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 地震防災 / 耐震化 |
研究概要 |
本研究では、視聴覚体感環境を利用して個々人の地震時イマジネーション力をつけることを目的する。我が国は、切迫する巨大地震を前に、社会の高機能・高密度化や人口の減少・偏在、少高齢化により、災害耐力や被災後の回復力を著しく減退させている。巨大災害による我が国社会の破綻を回避するには、災害前の個々人の備えを抜本的に進め、被害を劇的に減少させるしかない。政府や自治体は、地震防災戦略や災害被害を軽減する国民運動を推進してきたが、耐震化や家具固定などの進捗は芳しくない。その最大の原因は、国民一人一人の我が事感の欠如にある。そこで、本研究では、地震対策を我が事としてイメージできる地震時再現環境を構築し、個々人が、地震への備えをすることが当たり前と感じるような社会を作りあげていく環境を提供する。H23年度は以下の研究を実施した。まず、国土地理院による5m メッシュデジタル標高データ、擬似経験的グリーン関数法により予測した地盤地表の強震動予測結果、自治体により提示されている各種のハザードマップ、昔の地形図に基づく地形の改変データ、などをデータベース化した。また、地表の強震動を用いて、非線形動的相互作用効果を考慮した建築物の弾塑性地震応答解析を実施し、建物内床応答を予測する解析法の構築に着手した。さらに、22 年度までに整備したバーチャル振動台EVERESTの技術を用いて、地震時室内映像の視覚環境を生成した。3 次元ビデオカメラ、3 次元ウェブカメラを利用して景観の3 次元画像を取得すると共に、カメラ付き3 次元ヘッドマウントディスプレイに加速度計を設置して、ブレ補正をしながらヘッドマウントディスプレイ上で、目の前の映像を立体視できる環境を整えた。最後に、対称的フーリエ変換法により、床応答波形に対応する地震時の聴覚環境を生成した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度で研究目的を達成できる目途が立っていると考えられるため。
|
今後の研究の推進方策 |
H23年度の検討をさらに進めると共に、これらのシステム化を試みる。ここで構築するシステムは下記のような動作をする。なお、対象地域は名古屋圏の数地域とする。(1)GoogleMap を利用したWebGIS 上で地点を選択し、その周辺の3 次元地形データ等を生成する。(2) 土地の地形・ハザードを閲覧しつつ、地震時の地盤―建物群の揺れを立体視する。合わせて、注目する建物を指定する。(3) 選択された建物の当該床位置の揺れを予測し、3 Dディスプレイ上で、目の前の室内映像が当該の揺れで前後左右上下に揺れる様子を立体視する環境を整える。(4) 床の揺れに応じた、地震時の音を生成して音環境を生成する。(5) さらに、3Dディスプレイ上の映像の中に、仮想の家具を重ね表示し、家具の転倒状況を立体視表示する。これにより、ユーザーは自宅の居室で経験する揺れを目の前の画像の中でリアルに体感することができる。構築したシステムは、応募者が日ごろ一緒に活動している防災リーダーや災害ボランティアコーディネータを介して多くの人たちに利用してもらい、体感効果についての調査を行い、効果測定を行う。そして必要に応じてシステムへのフィードバックを行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
システム化のためのソフト開発や3次元表示のためのハード機器を購入する予定である。
|